ないとなると欲しくなる
今日の買い物は白菜だけだからと、瑠乃とは交差点でバイバイした。
寒くなって来ると、鍋と言う名の手抜き料理が歓迎される。
三者面談が終わってから仕事に行ったお父さんは、今夜の帰りは遅い。
久々にゆっくり勉強出来そう。
けどあたしの集中力はそんなに持続するほど、容量を持ち合わせていなかったらしい。
「11時か〜…。」
机の上の時計に手を伸ばし、頬杖をつく。
何か、落ち着かない。
誰かとしゃべりたい。
いくら面談期間で学校は連休だって言っても、瑠乃に電話するのも気が引ける。
大好きなホットミルクでも飲んで、気持ちを落ち着かせよう。
そんなあたしは、冷蔵庫に裏切られた。
「牛乳、ないじゃん…。」
フィーンと音を立てて暗闇の中で怪しく光る冷蔵庫を、恨めしく睨んだ。
「また海だな。」
学年の中で背の低い事を気にし始めた3コ下の弟は、最近やたらと牛乳を飲む。
買い溜めしておくほど、まだその習慣に慣れていないあたし。
これを口実に、深夜のコンビニに行く決心をした。
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W.A×