静かな夜 



「とりあえずウチ来るか?」

「ありがとう。でも帰って夕飯作らなきゃ。」

「そっか。たまにはさ、簡単に済ませて勉強する時間作りなよ。」

「うん!頑張る!!」

元気良く一臣くんに手を振り、あたしは急いでスーパーに寄って帰った。



それから夕飯を作り、後片付けをして、最後にお風呂に入り、

さて!勉強するぞ!!

って時にお父さん帰って来たし。



お父さんだって頑張って働いてるんだもんね。

ひとりで夕飯じゃかわいそう。

あたしは教科書片手に、温め直したおかずをテーブルに並べた。

「無理しなくていいぞ、勉強してなさい。」

お父さんはスーツをハンガーにかけながら、あたしに言った。

「でも。」

「お父さんは小学生じゃないよ。夕飯ぐらいひとりで食べれる。」

ビールをグラスに注ぎ、スポーツ中継にチャンネルを合わせる。

何となくやはり、その背中は寂しそうに見えた。



実際お母さんがいなくなって寂しいんだろうな。



あたしはそっと部屋に戻った。

-8-

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