ゲーム進行状況
白鷲のマンションから出たところでメール着信を報せるバイブ音が黒琥の携帯を震わせた。
差出人がakuma@yahoo.go.to.hellって意味が分からず間違った英文に黒琥はうんざりした表情でメールを開く。おおむねメール内容はこうだ。
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悪魔印の18禁ゲーム『ルシファー(笑』
主人公は月影 黒琥。(ツキカゲ クロコ)
カラーギャング、ブラック『ルシファー』のヘッド。
艶やかな男前で黒目黒髪。
バリタチなようでいてネコの素質あり。
抱かれると流される(笑
次々と男達を虜にしていく、18禁ゲーム。
ゲームオーバーは主人公の死。
選択肢は分かりやすいようにゲームオーバーはゲームオーバーと記入。
時間が経つと(15秒くらい?)、その時のベスト選択肢が自動で選ばれる初心者に優しいシステムを採用。
主人公は選んだ選択肢の通りに行動する。
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と、ここまでは蝙蝠から聞いたルールと同じなので読むのをすっ飛ばしたが、その次からは書かれている内容が真新しく違った。
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◆主人公淫乱度◆
★★☆☆☆☆☆☆☆☆
◆攻略キャラクター◆
<ルシファーSIDE>
NO.2
上条 春明(カミジョウ ハルアキ) H度☆☆☆ 純愛度★☆☆
(色素が薄く亜麻色の瞳と髪。王子様然とした美青年。腹黒。)
NO.3
柊 冬樹(ヒイラギ フユキ) H度★☆☆ 純愛度☆☆☆
(銀髪、薄藍の瞳。ぶっきら棒な切り込み隊長。)
<ミカエルSIDE>
ヘッド
白鷲 蓮(シロサギ レン) H度★☆☆ 純愛度★☆☆
(焦げ茶色の髪と瞳。猛禽のような男前。主人公を長年、意識していたライバル。)
<月宮SIDE>
???
??? H度☆☆☆ 純愛度☆☆☆
(特定の条件を満たして下さい)
???
??? H度☆☆☆ 純愛度☆☆☆
(特定の条件を満たして下さい)
<???>
???
??? H度☆☆☆ 純愛度☆☆☆
(特定の条件を満たして下さい)
色々と突っ込みは多い。
書かれている内容に黒琥はうんざりする。
「オレの淫乱度って何だよこれええええっ!!」
するとパタパタと頭上で羽ばたきの音が響いて蝙蝠が黒琥の顔の横に現れた。
「淫乱度はエンディングに影響されるんですぅ☆
攻略キャラクター頑張って、見つけてくださいね!
魔界で酒飲みながら、決めたんですよー」
バチンとウィンクされ、その言葉が終わらないうちに黒琥は蝙蝠の顔をギュムムムッと掴んだ。怒りにまかせて握りつぶすっ!加減は勿論しない!
「ぷぎゃああっ顔がぁ顔がぁ」
某の城ラピュタの悪役キャラクターの台詞みたいなことを言っても構わず、
黒琥は、今度はその羽を両手で握って、左右に引っ張った。
「なにが酒飲みながらだっおらっ!!何で酒の肴なんだよっ!!
オレの体も勝手に淫乱に作り変えやがってっ死に晒せっ!!」
その言葉と共に蝙蝠を地面に叩きつけると、マンションの片隅に止めてあった自分のバイクに跨り黒琥は自宅へ向かった。
…嫌な予感がして、帰りたくはないと思いつつ家に向かう。
というのも月影 黒琥というのは夜の世界で名乗っている偽名だ。
月影が偽名と大体の連中は知っている。
じゃなけりゃ月影ってwとからかいの対象になるような苗字である。
本当の苗字は月宮。
関東一帯を束ねる暴力団・月宮組といえば後ろ暗い人間だれもが震えあがる巨大な反社会組織…そこの次男が黒琥だ。
組を継ぐのは黒琥の兄と既に決まっているので、次男である黒琥は好き勝手に遊んでいられるのだ。
そこはまぁ良いのだ。
黒琥はバイクを高く呻らせ、スピードを上げた。
朝焼けの中でバイクが高く嘶く。
「さっきの携帯に月宮SIDEってあったじゃねぇかっ!!!糞がぁっ!!」
そう…家が、魔窟と化しているかもしれない哀しみに黒琥は打ちひしがれていたのである。
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