『主と捧げる血』

「不味い」

カチャンッとグラスが風紀委員室のクラシックなデザインの木の机に置かれて・・・風紀副委員長である木更津 槇は溜息をついた。

「我慢してください」

それに戒斗は不満げな顔になる。

「仕方ねぇだろう・・・真夜の血臭に少しあたった」

なんだこいつは馬鹿なの?というような残念な顔を槇はした。

「そりゃあ『供血の一族』の血は極上なんですから・・・それに比べたら、その血は劣るでしょうね。」

だが今、グラスに注がれている血だって純血種の戒斗の為に、彼のハーレム傘下の吸血鬼が捧げた貴重なものだということに変わりは無い。
それが分かっているから戒斗がこれ以上、文句を言うことは無かった。
グラスに手をとってクッと鮮血を飲み干す。

こくりっこくりっと戒斗の咽喉仏が動く・・・やけに扇情的だった。
それを槇は見詰めていた。
何を隠そう、彼自身も戒斗のハーレムに入っている。

そして戒斗は全て血を飲み干すと・・・その紅く血に染まった唇を、拭おうとする。
それを槇は戒斗よりも早く・・・戒斗に口付けることで止めた。
純血種である戒斗が槇の動きに気付かない筈は無いのに、されるがままになっている。

ピチャッ、クチュッ

舌で丁寧に戒斗の唇を舐める。
そして戒斗の手が槇の後頭部に回されて、貪るように口付けを返された。

「はぁっんっ戒斗っさまっ」

自身の主に、もう縋り付く事しか出来ない。
槇の瞳は目の前の戒斗という存在に酔って紅に染まっていた。

「このっ淫乱っがっ」

だが戒斗は楽しそうに笑う。
そして槇の襟を掴んで、ビリッと破った、ボタンも飛び散る。
そして晒された槇の首筋に牙を突きたてた。
遠慮なくブツリッと皮膚を切り裂いて侵入してきた戒斗の牙に、槇の頭は真っ白に染まり、快楽に喘ぐ。

「ああっっんっふあっあぁっ・・・」

ジュルッ、グチュッと啜られる血の音。
それに喜びが溢れる。
唯一の主に血を捧げられる自分が嬉しい。
愛しい。

もっと、もっと吸って欲しくて戒斗の逞しい体に槇は手を這わした。




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