どれくらいの時間が経ったのか分からないが、
俺と白鷺は互いに一歩も譲らず、互いに一発づつ顔と腹に打ち込んでいた。
力が拮抗している。

・・・筈だったが、今は確実に俺が押されていた。

下腹部が痛い。
今更、冬樹に犯された後に動き回ったせいで疼痛が出てくる。
ゼィゼィと息が切れる、変な冷や汗が止まらない。

白鷺もそんな俺を不審に思ったのか、さっきから生ぬるい攻撃しかしてこない。
それを受けることすらキツイ俺に白鷺が益々眉間の皺を深くするという悪循環…なんだよこれ。

完全に手加減されているのに、白鷺の動きを追い切れず、また腹に一発もらうと「ガァッ」…痛みが脳天まで響いて俺は膝をついていた。

ずるずると白鷺の腕に縋る様に地面に這い蹲る俺に、奴の戸惑ったように声が降ってきた。

「おい黒琥・・・お前、最初から爆弾抱えてただろう。」

「ハッ、何のことか分からねぇなっ」

畜生、畜生、万全ならこんなことはねぇのに。

『うふふうふふうふふ』…さっきから蝙蝠が気持ち悪いし。
そしてそれを予期してたかのように、ポンッという音が響いて、俺は泣きたくなった。


▼逃亡してバッドエンド(廃人ENDだょんv)
▼うずくまったままで和姦ルートv
▼一矢報いて強姦ルートw


今回も選択肢は最悪だ!!
俺は頭が真っ白になりつつも高速で脳内を動かすということを器用にこなした。

これどうすんのっ!
さっきも『目つぶし(≧ω≦)』で思ったけど選択肢が最悪すぎる!!
どれも駄目じゃん!どれも俺に救いがねぇぇえええ!!!
バッドエンドって俺の人生終わるし!『廃人ENDだょんv』って『だょんv』だと糞がああ!!

和姦と強姦ってどっちが良いんだっけ?あれ分かんなくなってきた?
姦ってついただけでもうヤバいだろうが!!
もう嫌だっ!!と考えていたら…ピコーンと嫌な音がして…


▼一矢報いて強姦ルートw


赤くなってるぅぅ!!!
視線の先で飛んでる蝙蝠がニヨニヨしてるのが殺してやりたい!
15秒経って選択肢の選択がなされてしまったぁぁぁ!!

そんな俺の心情とは裏腹に『ああああ萌ぇぇぇぇ!!』とか言ってる蝙蝠が非常に憎い。

そして俺の気持ちを裏切って俺は「ウッ…」と呻きながら、白鷺の腕に縋りつつ何とか立ち上がった…何でか奴は、その間は攻撃してこない。
間近で野性味のある白鷺の鋭い視線が俺を覗き込んでいる。

俺はそれに、もはや焼けくそで笑い。
一歩後ろに引いて構えると…目の前の白鷺は獰猛な獣のように笑う、どこか嬉しそうに。

「来いよっ」と挑発すれば、「言われなくても」と奴は大きく踏み込んできた。
それと同時に繰り出された中段の蹴りを、俺は避けなかった。
奴の息を飲む音がする。
強烈な衝撃と痛みで体が軋むが、隙が生じた奴の顔に俺は思いっきり拳をブチ込んだ。


バキイイィィ!!!!


人を殴る鈍い音が響く、そしてたったそれだけで俺の足はバランスを取ることが出来ずに地面に倒れ込む。
地面とキスしちまう、とボンヤリと思ったら、力強い腕に体を支えられた。
誰かなんて分かってる。

果たして燃えるような目で俺を映す白鷺が、俺を腕一本で支えていた。
そして奴はもう片方の手で俺の顎に手をかけてギラつく瞳に俺を映す。

「上等だ、黒琥っ!どっちが上か分からせてやるっ!!」

そして奴は問答無用に俺の胸倉を掴むと地面に引き倒した。

「糞がぁ!」

「大人しく下でボコボコにされろっ」

そしてマウントポジションを取られて動けないところで奴が俺を抑えつけようと胸倉の服を引っ張った瞬間、ビリイィィッと嫌な音がした。








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