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改造バイクに跨って走らせる。
俺は留守を上条に任せて、奴らが暴れている埠頭へと十人ほどの仲間と一緒に向かった。
(上条と離れたかったというのもある)
んだが、何故か黒い蝙蝠がフルスピードでバイクを走らせる俺の横にピッタリついて飛んでるから最悪!!ストーカーっ!!
「てめぇ!!ついてくんなっ!!!!」
「えっ!?」
蝙蝠に叫んだはずなのに、隣にいた仲間がショックを受けた顔をしたんで、慌てて「てめぇに言ってねぇから!」と言い直した。
その蝙蝠がにやにやしてるのが月影の怒りを煽る。
だがこれ以上、仲間に勘違いされたら困るので無言を貫いた。
*****
そういう訳で埠頭についた時は既に俺は怒りが最高潮に達していて。
そのままミカエルのヘッドと相対することになった。
奴は俺のチームの奴に囲まれているのに平然としていた。
それもそうか奴の前にはうず高くノサれた奴らが倒れている。
「はっ流石だ」
アイツに正面からかかって渡り合える奴はウチのチームの幹部レベルじゃないと駄目だ。
甲高い音を立てて俺のバイクが止まる。
目の前には白のバイクに跨ったアイツ…白鷺 蓮がいた。
風がやけに強くて、奴の男らしい精悍な顔立ちに似合う焦げ茶色の髪が揺れて、濃い陰影を落とす。
「やっとお出ましかよ、黒琥。」
蓮の声は激してもいないのに、よく通る。
人の上に立つ者が持つ独特の気迫に満ちていた。
「俺が来てやったんだ、相手してやる」
それでなくとも辛いことが多すぎて鬱憤が溜まっている、と思った瞬間だった。
ぽんっと嫌な音がした。
目の前にはニィッと気味悪く笑う蝙蝠がいつの間にか現れる。
SHIT!!!
分かっていはいたが、選択肢が最悪だ!
「糞がっッ!!」
叫んだ瞬間、隣にいた仲間がびくっと怯える、いやお前に言ってねぇからっ
何でだよっ!!
よりによって何で俺が全員の前で凌辱なんだよっ!!
こんな理不尽聞いたことない!
怒りに打ち震える俺を、敵の筈の蓮も含めて皆が訝しげな視線を向けるが。
そんなのに構ってられない。
時間がたてば選択肢が勝手に選択されてしまうっ(泣
凌辱だった日には目も当てられないっ。
俺は眉間に皺を寄せて、選択肢の選択を念じる。
これだっ!!
ぴこーんと選択肢が選択されて何とか凌辱ルート回避された!!
上の方で蝙蝠が「つまんない」と言ってるのはガン無視だ。
喜びに打ち震えつつ獰猛に笑うと俺は蓮に「場所を変えるぞ」と言い放った。
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