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会長とオレが食堂に入ると、そこには生徒会役員に囲まれた黒もじゃの人物がいた、転校生らしい。

転校生の髪の毛は鳥が巣を作っている様で、ビン底眼鏡で目がデカくなってる…そして彼の制服は皺が付いている。
だらしがない、そういう印象を受けざるを得ない。また身長がけっこう高い。

毬藻というより…汚いつくし?

その牧歌的な印象とは違い、オレは彼を厳しい目で見ていた。

何故かというと先程、彼が生徒会副会長である田辺怜人の名前を呼んだために…あちこちから鋭い視線が彼に集中しているのだ。

思わず食堂にいる副会長の親衛隊長の姿を探すと、隊長は眼鏡をかけた冷徹な目で「副会長」を見ていた。そして俺の視線に気付くとニィッと微笑む…どうやら機嫌は最高に悪いようだ、あとで話し合おう。

溜め息を零し、視線を転校生に移すと、今度は双子庶務に詰め寄られており…
双子恒例の「どっちがどっちだ?」に「見分けて欲しいのか、欲しくないのかどっちなんだ…ですか。」と訳わからない敬語をつけて尋ねていて。
その彼の態度に双子はぽかんとして、その後には飛び切りの表情で笑っていた。

また思わず食堂にいる庶務の親衛隊長の姿を探すと、不良じみた茶髪にピアスの隊長は面倒くさそうにスマホをいじっていた…どうやら興味はないらしい。
でも双子庶務の親衛隊からは非難があがっている、やっぱり後で話し合いが必要だ。

「へぇ面白いヤツ」
そして玲瓏な声に引き戻されて、また転校生を見れば会計の羽場 海都が目を細めて嗤っていて彼の興味をひいたのが分かった。
「俺は生徒会会計の羽場海都だよ。」
「はぁ、どうも」
反応が薄いことに羽場はクツクツと嗤う、日常的に騒がれている彼からしたら転入生の反応の方が新鮮だろう。

また思わず食堂にいる会計の親衛隊長を探すと、庶務の親衛隊長がスマホいじってる横に座り、こっちをじっと見ていた。ピンと背筋が伸びて凛とした武士のような彼の姿に…後で話をしようと決めた。

そして暫くキャアキャアと転入生を構う生徒会役員達を見つめ、オレは溜息を零す。
いつの間にか無言な書記も転入生の側について何事かぼぞぼぞ言っている。

最後に書記の親衛隊長を探すと、会計の親衛隊長の横に座って、こっちを微笑ましいものでも見る様にニコニコと見ていた。いわゆる男の娘で、可愛いから和む。

ここは…話し合いはいいか。

癖がありすぎる親衛隊長に生徒会役員たちにオレが溜め息を零した時だった。

隣りで会長がオレを見下ろして「お前でも、疲れるんだな」と言ってきた。
何を当たり前のことをと視線を向けると・・・含みを持ったように笑われる。

「どういう意味ですか」

「いや、テメェのそんなツラは…面白れぇなと思ってな」

どんな顔をしていたかと、表情を取り繕うと…会長はニィッと獰猛に嗤った。

「もっと・・・お前の取り澄ましたツラを壊してやるよ。」


そして…会長も転校生に向けて足早に歩き出した。


何をと思ってオレは会長の背を追いかけると、会長はおもむろに生徒会役員に囲まれている転入生の前に佇んで、そのまま会長は転入生を強引に引き寄せて口付けたのである。

食堂に轟いた悲鳴を聞きながら、オレは目の前で当てつけに行われたキスに。

息が止まりそうで。

なんでこんな風に突きつけられなければいけないのか分からず。

…激しい胸の痛みに襲われて、瞳を見開くことしか出来なかった。


この恋は痛みしかもたらさない。


でも、貴方が好きだ。


貴方が好きな俺の想いはどうしたらいいんだ。







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