『成実と政宗』act.2
年が近かったせいもあるかもしれない。
一緒に酒を飲んだことなんか数え切れないほどあったし、
馬鹿やって小十郎に怒られることも沢山合った。
狩りに出かけて、一日帰りそびれたり・・・
祭りの夜に城を抜け出したこともある・・・
一緒に居ると楽しくて時が経つのが早かった・・・
けれど何時しかそれが出来なくなっていった・・・
すると突然、何の前触れもなく成実の元に政宗から書状が届いたのだ、
火急の用件かと、急いで書状を開けた成実の目に飛び込んできたのは・・・
「別に用はないが、この頃逢っていないから手紙を書いた」
という内容の書状だった。
つい、笑ってしまって。
心がほわっと暖かくなって。
頬が緩む。
寂しいなと想ってたのは・・・自分だけじゃない。
ホッとした。
そして成実は「本当に敵わないなぁ」と呟いて・・・嬉しそうに部下に「良い酒を見繕ってこい」と命じたのである。
たまには君主とか臣下じゃあない、ただの成実と政宗で・・・昔の馬鹿話でもしながら酒でも酌み交わしたいと想った・・・
政宗の成実にあてた書状は史実です。「伊達政宗文書」より。
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