鬼の物思い
…気付いた時…真貴はわたしの心の内に既に深く入り込んでいた…
それは心地よい春の風に吹かれる紅梅のように…私を彩った…
あぁそう,これが人を想うことかと気付いた時には,真貴に対して辛くあたった後だった…後悔しか浮かんでなかった時に…真貴は言ったのだ『私,アクラムが好き…』と…どうやればそんな風に想えるのだろうと不思議に感じたが…
嬉しかった…
そして,これまでの人生の中で過ごしたことの無かった暖かい時間を真貴は私にくれる…惜しげもなく…守りたいと想った…だがそう想えば想うほどに真貴を傷付けてるのは自分だという自覚もあった…
それは罪だ…
だけれど『あの男』がいる…私から真貴を救い上げるために用意されたかのような場所に…『地の白虎』が…
いつだったか河原院で私と真貴が逢瀬を重ねていた時,地の白虎が居ることに気付いて…見せ付けるために真貴の唇を奪ったこともあった…その時に見た燃えるような瞳…
あぁこの男もかと思った…真貴を想っている…そう私よりも真貴に相応しい場所で…
想うことなど唯一つ…全ては真貴のためだけに…
だから…死にたくて死んだわけでは無いけれど…任せられる者がいるなら…それで良いと想った…これで私が真貴の『想い』から消えれば…
それは私と真貴の時間が消えること…でも…それで真貴が幸せになるなら…迷わなかった…
…愛してる…この言葉の意味を教えてくれたのは…お前だった…
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