海〜愛撫〜

真貴は船室に入ると口付けの衝撃から立ち直り、翡翠の腕の中で暴れ始めた…

「やめて!!離して!!」

「…言われなくとも、離すよ。」

「キャア!!」

寝台に投げ落とされた真貴は思わず痛みで叫んだ。

「何するの!?」

したたかに背を打ち、真貴は反抗心もあらわに、翡翠を見上げる、と彼は腰に結んでいた流星錘をスルッと解いた。

その瞳は、深く…闇を落として…真貴は、またゾクッと恐怖を感じた。

…幾多の戦場を駆け抜けたのにも関わらず…真貴は目の前にいる、この『翡翠』という『男』が恐ろしかった…

それはこれから起こる事への予感だったのだろうか…

そして翡翠は、ゆっくりと緩慢とも言える動作で真貴との距離を詰め…すぐ傍らに座った。

「何よ…」

それに身構える真貴に彼は、流星錘を引っかけたままの両手を真貴の肩に置く。
正面から向き合う形となった真貴は不機嫌な表情を隠しもせずに翡翠を睨んだ。

「何?さっきの口付けを謝ってくれるの?」

その言葉に翡翠がクッと失笑したのを真貴は見逃さなかった。

パアァァン!!

翡翠の髪がパサッと流れる…真貴の怒りの満ちた顔に彼は暗く笑った…


「…いけない手だね」

そう囁いたかと思うと翡翠は真貴の肩に置いていた手を滑らし、真貴の腕を掴むと、ドンッと真貴を後ろへ押し倒した。

「キャア!!」

そしてそのまま真貴の腕を頭の上で流星錘を使って一つに結んでしまう…

「イヤッ!!離してよ!!」

それに真貴は何とか紐を解こうとするのだが無理だった…

そんな真貴を押し倒したまま、翡翠は真貴の髪の一房すくい、そこに口付けた。

「ふふっ、その方が良いよ…ゆっくり、教えてあげるから…」

何を教えるというだろう…おそらく顔に出ていたのだ…翡翠は艶麗に微笑んだ。

「こういう事だよ…」

翡翠の顔が真貴に近付いて、そのまま口付ける…そしてそれと同時に単の帯がシュルッと解かれて、翡翠の大きな手が真貴の脇腹を優しく撫でた。

ビクッ

と真貴が反応し、僅かに口が開くと、翡翠は舌を差し入れて、激しく絡める。
甘く吸って、柔らかく噛んで、歯列をなぞると真貴から甘い声が上がり、翡翠を楽しませた。

いやだ…

翡翠の冷たい手が優しく真貴の肌を滑る…

いやだ…吐気がした…

優しい人の面影が滑る…

『真貴ちゃん?』

イヤ!!

「ツッ!!」

舌を噛まれた痛みに翡翠はパッと離れた。血が彼の口から流れる…それにまた翡翠は暗く微笑し、獣のように厳しい瞳を向けている真貴の髪に一房、口付けた。

「ふふっ、面白い…私の舌を噛んだ女性は初めてだよ。随分、情熱的だね…」

もう真貴は耐えきれなかった。

「吐気がするわ!!この屑!!」

翡翠の瞳がツーと細められ…その瞳に怒りの火が、ゆらりと揺れる…

彼はギシッと寝台から離れると近くの漆の棚から小さな瓶を出した。
光に反射して青く輝く瓶を真貴は不審な目で見る。
それに気付いた翡翠が、また寝台に乗り、冷たく微笑した。

「ふふっ、コレはね…かたくなな君の体と心をほどいてくれるモノだよ…そう…」
『媚薬といったかな?』

耳元で囁かれた熱に、真貴は愕然とした。

翡翠は、本気で私を抱く気なの…

それに気弱になりつつも必死で自分を保つ…

「残念だったわね!!私は絶対に飲まないわよ!!」

決然と告げる。

…だがこれは甘かった。

真貴は、コッチの方のことは、何から何まで知らなかったので、翡翠から見れば、強がってるお子様だった…

クスクスと本当に楽しそうに翡翠は笑う…

「君、子供だね…」

何が、そんなに楽しいのか訳が解らない…

そして翡翠は静かに、寝ている真貴の上に覆い被さった…とたんに甘い侍従の香が、より一層、真貴を包み、翡翠の長い髪が真貴の上から溢れ落ちた…そして、そのまま甘く耳朶を噛む…

「なにも口は上だけとは限らないじゃないか…」

次の瞬間、真貴が纏っていた単はバサッと翡翠によって大きく前を開かれた。

「キャアァ!!」

白い肌の真貴が寝台の上に浮かぶ…それに翡翠は吐息をこぼした。

「可愛いよ…真貴…」

真貴…

この言葉を囁くのは『真貴』が良かった…

それはもう叶わない願いだけど…身代わりはいる…此処に…この腕に…

それは…なんという罪悪…きっと後悔をする…それなのに…

翡翠は迷いを振り払うように、涙をこぼしている真貴の肌に手を滑らした。

翡翠が触れた途端、バタバタと真貴は暴れ始めた。

「いやあぁ!!離して!!」

だがその動きは翡翠によって抑え込まれ、彼は真貴の足の間に体を滑り込ませて、真貴のまだ閉じられている蕾に触れた。

それだけで、ビクンッと真貴は震え、おとなしくなる…それに翡翠は笑った…

まだ本当に交わりの何も知らないようだね…

媚薬の瓶の蓋を開けると甘い香りが部屋に広がる…それは翡翠ですら目眩を起こす程だった…

ツッ、これは…凄いね…さすが異国の物だけはある…

そして瓶の口を、翡翠は真貴の蕾へと持っていった…

クチュと僅かに瓶の口を真貴は飲み込む…コプッ、トプッと液体が#内へと流れ込み…入りきらない雫がシーツを濡らした…そして真貴の黒曜石の瞳が見開かれ…その端からツッーと美しい涙が溢れた…

それに翡翠は眉を寄せると身を屈めて優しく真貴の涙を舐めとった…

その時…

「景時さん…」

甘く真貴が呼んだ…優しく…大切に呼んだ…その名…

その瞬間…翡翠には、わかってしまった…その名の男が真貴の『想い人』であると…景時…ね…

だが…今、君を抱くのは私だよ…真貴…

そして翡翠は瓶を真貴から抜き取り、まだ半分ほど残っている、その中身を自分で飲み干した…

口に入れた瞬間から喉が焼ける…体が熱い…

ゴクッと最後の一滴まで飲み干し、空になった瓶を床に投げ、翡翠が真貴を見ると気持ちよくなってきたのか、トロンッとした目で翡翠を見上げていた…

それだけで、どうしようもない欲望が翡翠を包む…

「真貴…」

口付けを落とし、ピチャリと舌を絡めても、今度は噛まれなかった。それ所か真貴から求めてくる…

「ぁん、あっやぁ」

甘い吐息が漏れ、翡翠は真貴の下肢に指を伸ばして媚薬を注いだ真貴の蕾にクチュリと指を入れた…

「ぁん!!」

また真貴から甘い声が上がる…真貴のソコは初めてと思えないほどに、しどとに濡れて翡翠はフッと微笑をこぼした…

これなら痛みは感じないだろう…

そのまま指を二本、三本と増やしていくと、グチュ、ヌチュと水音は部屋に響いて…

「あっん、やあぁん、だめぇあっあぁぁぁ!!」

理性の飛んでる真貴の声も高くなり、絶頂を向かえた…




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