ごめん・・・君に謝りたかったこと

あの時、伝えていたら、どうなったんだろうって想う時がある。

俺が小さい時からアイツは俺の側に居て・・・何度も、何度も大切だなぁって想う瞬間はあった。

例えば、俺が母上にさげずまれ・・・
打ちひしがれて・・・

庭で一人隠れていた時に、アイツは必ず俺を見つけた。

俺を呼びながら、俺を探す声に俺は必要とされていると思えた。

俺を見つけた時のアイツの、真貴のほっとした顔が大好きだった・・・

大切だった・・・

全てのことが大切だった・・・

俺とお前、その間に流れる信頼は確かに見えないけれどあった・・・

それを信じなかった俺の罪・・・


政宗は自身の室で欄干に凭れて城下町を見下ろしていた。そして空を見上げる、雨が降りそうな曇天の空を。

この空の下、女の身でたった一人・・・
頼る身寄りもなく・・・真貴は何処に居るのか?

不安で、寂しい思いをしているだろう。

そう想うと政宗の胸が締め付けられる様に痛んだ・・・


「真貴・・・」


大事な、大切な人の名前なんだ。

今は側に居ない・・・けど、ずっと側に居てくれた・・・そして何より、ずっと側に居てくれると想っていた人の名前・・・


愛してた、愛してる。


けれどこの想いが暴走して、お前を傷つけた・・・

そこで政宗は開いていた左目を閉じて、瞼の裏に面影を浮かべる・・・

風が政宗の頬を撫でて・・・


「・・・sorry」


決して届くことはない想いを政宗は風に乗せたのである・・・許して欲しい。

側に居て欲しいよ、お前に。

『ごめん・・・君に謝りたかったこと』




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