過ぎる面影

触れることも、出来なかった・・・大切な人。

口付けて抱きしめて、自分だけの腕の中に閉じ込めて・・・
そんなことを考える自分自身に泣けてきた・・・遠い日・・・

崩壊する

黒影は常世を掻き抱いて、そのままの激しさで唇を奪った・・・
ずっとずっと焦がれてた人
出会った瞬間から息が止まりそうなほどに愛おしかった
舌が重なる水音が響いて、常世が自分の口付けに応えるのに黒影は陶然と酔った。

「ふっぁっ」

零れる声がいとおしい
愛しすぎた人

口付けたままフワッと抱き上げるように床へ押し倒す。

「こくぇ、ぃ・・・」

微かに合間に掠れる声に・・・押し倒して黒影は口付けを離した。
そして部屋の中央でこちらを楽しげに見ていた白亜に視線を投げる。

「俺は誰かに常世様とのこと見られていたくない・・・去れ、白亜」

それに白亜は肩を竦めて、簡単に着物を着付ける。

「私の精を常世様は受けてますから、
常世様を抱くと貴方は私と同じで常世様に想われるようになれますよ・・・良かったですね。」

龍の毒・・・虜の毒・・・
一度、身の内に毒を受けると抗い難い快楽を生む・・・
その毒は常習性と毒を受けた者の心すら縛る・・・

毒は龍の精が最も強く・・・
身の内に龍の精を注がれた上で再び抱かれると・・・身も心も抱いた者の手へ堕ちる・・・

それは龍以外の妖も同様で・・・

「黙れ!!」

スパッと投げられた鋭い羽に頬を切られた白亜はフッと笑って、「これで貴方も共犯だ」と部屋から去っていった。
それに黒影が忌々しげに表情を歪ませると、

「こくえぃ・・・よこせ・・・」

常世がスルッと黒影の腰に足を絡めきて・・・それに黒影は笑って常世の額に口付けた。
そのまま頬に、眦に、瞼に髪に耳に甘く口付けの雨を降らせて・・・

「術をかけましょう、常世様」

囁く

「貴方と俺はごく普通に出会って・・・惹かれて、想いあって・・・今日始めて体を重ねるんです・・・
だから貴方は傷付かないで。」

それが意味の無い事だとしても・・・
なんて傲慢なのか、白亜に犯されて毒に染まった常世様を抱こうという俺がいるのに・・・
傷付いて欲しくないなんて・・・

黒影はシュルッと下袴の紐を解いて、常世の唇に触れるだけの優しい口付けを落とした。

「愛してます、常世・・・」

わらう

黒影はこの罪は己だけの物と覚悟を決めて・・・
熱を常世のそこへあてがい・・・

グチュッ

水音が響いて、黒影の熱く滾ったものが常世のうちへ入ってきた、

「ああぁっ」

常世は快楽に喘ぐ、やっと欲しかったものが与えられて・・・涙が零れる。
頭が掻き回される・・・黒影が、黒影ガ愛オシイ・・・
俺ヲ抱ク体ガ愛オシイ・・・

「常世・・・」

そっとその涙を黒影の舌ですわれて、
その瞬間に常世は何かが切れた・・・涙が次から次へ溢れて止まらなくなった・・・

「常世様・・・泣かないで下さい・・・愛してます」

雫が零れるたびに、黒影は丁寧に舌で拭ってくれる・・・

「つっっ、っぅっっ」

何かが違うと叫んでいるのに、体がいうことを効かない。

「黒影っ、もっとっほしいっっ」

ぎゅっとしがみ付けば、黒影は息を飲んで・・・
その一瞬の後には両腕を常世の顔の両側について常世を閉じ込め、激しく犯した・・・

グチュッ、クチュッ、グチュリッ

と激しく身の内を深く犯される・・・奥の奥まで熱で突かれる・・・それで一気に快楽が増して・・・

「あぁあっんっ いぃっっ いいっ」

常世が手を伸ばすと黒影は汗を浮かべた精悍な顔に笑みを乗せ、

「愛してます」

耳を甘く噛まれ囁かれた。
それだけで快楽がブワッと全身を包んで・・・

「ぁぁっ イクっっ・・・ぁっ・・・」

常世は達した・・・白濁が二人の間に出て・・・
けれど黒影は常世が達した締め付けに僅かに耐えるような素振りをするものの、そのままの激しさで常世を犯し続ける。

グチュッ、グチュリッ、パンッ、ヌチュッ、

交わっている音、零れ出る体液、ぶつかる体
達した快楽の中で犯され続ける・・・敏感な身の内をひたすらに・・・熱が穿たれる・・・
その快楽で狂いそうだった・・・

「よせえぇぇぇ!!!あああぁぁぁあ!!!!いやあだあぁあぁ!!!!」

頭を振っても、哀願しても、黒影は快楽に染まった顔で激しく常世を犯して許してくれない・・・
達した強烈な快楽が解放もないままに延々と続いてゆく・・・・・狂う・・・・・

グチュッ、グチュッ、

「あっはあぁんっ やめえぇぇっ ゆるしってぇくれぇぇっっ あああぁぁぁぁっっっ!!!」

だがそろそろ黒影も限界で・・・黒影は切羽詰ったような声を上げる・・・

「つっ、愛してますっ」

ドクッドクッと熱が常世の身を貫いた・・・熱が体に染み渡り・・・
黒影の言葉も強烈に注ぎ込まれて・・・

間近で交わされた瞳がデジャヴのように常世の心を焼く・・・

『常世・・・』

低く呼ばれる自分の名前・・・遠い約束・・・

『また会おう』

艶然と笑う・・・懐の大きな男・・・

「ぁ・・・・・」

微かに動く唇を・・・黒影は辛そうに表情を変えて、激しく奪った・・・
舌を絡めて・・・その意志すら消して自分だけ物に・・・

この先を誰も知らない・・・
この日を境に常世は二人に抱かれることになった・・・




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