京の都
平安京は妖達にとっても特別な場所だ・・・・・
本当に力ある妖はそれこそ、ぬばたまの闇の中から産まれる・・・
深い闇と、怨み、欲望、妬み、様々なものが混ざり合って、長い年月が経ち一つの妖としての意識が生まれるのだ。
その昔、桓武天皇が長岡京を打ち捨て、早良親王の怨霊から逃れる為に創られた都・・・・・
巨大な怨恨が渦巻く都・・・
呪われた平安京は妖を生むのに適した地であった・・・
だが東に青龍、西に白虎、北に玄武、南に朱雀が配置され、
数多くの神社・寺が建立された京は、生半可な妖は生きてなどいけない・・・・・
当然、その京を束ねる百鬼夜行の総大将は、
神力にも勝る妖力と、得てして散りじりになり易い妖達を束ねる巨大な器が必要だった。
それが鵺・・・・・
皆が皆、鵺に逢えば鵺を欲した・・・
ぬらりひょんが現れる、その以前より鵺は京に居た・・・
幾月も彼は弱い妖を守り、京の妖をまとめ上げ、人と妖の境を仕切り、京を守った・・・
彼は・・・妖の中で特別だった・・・
他の百鬼夜行の主は、彼を自身の百鬼夜行の列に欲しても、
決して卑怯な事はせずに正々堂々と抗争をしたし。
彼もそれに応えた。
鵺は決して京以外の地を治めようとはしない。
だが京は守り通す。
いつしか日ノ本の妖達は鵺を慕い、敬意を払い、誰も京に抗争を仕掛けることはなくなった・・・・・
そして数百年の月日は流れ・・・京の『鵺組』に抗争を仕掛けたのは唯一『奴良組』であり。
『ぬらりひょん』だけであったのである・・・
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