二人の妖

乱れた吐息が熱く二人の間を流れている。

「ぬ、らりひょん・・・」

瞳を閉じたまま、息を整えているとフッと笑う気配があって、

「鯉伴だ。」

と、閉じたままの瞼に口付けが落とされ、それに心が暖かくなる。

「あぁ、 鯉伴。」

そっと瞳を開いて、その瞳を見上げる。
端正な顔に鋭い光彩の瞳が綺麗だと想う。

この腕の中でずっと、ずっと、まどろんで居たい。その考えに穏やかに笑う、と。
鯉伴は、自分に抱かれながら艶然と微笑む常世に見惚れて溜息を零した。

「可愛いな、常世」

また口付ける、今度は頬に。
途端に羞恥で頬を染める常世

「っっそんな事言う、酔狂は、てめぇだけだ。」

憎まれ口を利いても、紅に頬を染めているから、可愛らしいとぬらりひょんは想ってしまう。
また自然と笑ってしまった。

あぁ、こいつホント堪らねぇな。あぁ、ホント、好きだ。
しみじみそう想った。

「そうだな・・・お前の強さに、虞れに、焦がれずにはいれねぇ」

それは真実の言葉。
真摯に常世を見詰めて囁かれる言葉。

この数十年、出会った時から惹かれて・・・魅せられてた・・・
それは、けれど・・・互いの言葉。
その鯉伴の言葉に常世は笑う。

「俺もだ」

だが取りあえず、それとこれとは別に。

「取りあえず、鯉伴・・・俺からどけ」

いまだ常世の身の内で、本宮自身が熱を穿っていて、それに羞恥が増す。
こういうのはシテル時より終わった時のが気恥ずかしい。
だがそれに鯉伴はニヤッと笑うと「もう一回欲しいんだろ?」と耳朶を甘噛みしてきた。

「てめっ」

クチュリッと舌で耳の中も舐められて、

「あっつっ」

常世は変な声を上げてしまった。
しかも身の内の鯉伴が、だんだんとまた熱を持ってるのが分かって、その刺激につい欲情してしまう。

「てめぇ、さっきしたじゃあねぇか」

ふざけんな、と言葉を続けようと思った瞬間・・・

グイッ

「っぁ!」

両足を抱え上げられてしまった。

器用なもので手を膝のところに差し入れて、胸まで一気に抱え上げたようだ。
ニヤニヤと酷く楽しそうにして鯉伴は「良い眺めじゃねぇか」と言っている。

「ばっかやろ!」

受け入れたままの急な動きと圧迫感。
無防備で女のような恥ずかしい格好に真っ赤に染まる常世だったが、

「いいだろ、てめぇがもっと欲しいんだよ俺は」

と、少し微笑みながらも真剣な金色の瞳とかち合って・・・顔が一気に赤くなる。

どうしろと、いうのか。

「好きにしろ」

つい羞恥で顔を逸らして答えた。
瞬間、下から突かれる。

夜の闇の中で、しなやかな二人の肢体が絡まりあう。

「あぁっ んんっ 」

先程、中に出されたからか滑りが良かった。
グチュッ、クチュリッ
ぶつかり、絡まり、熔けて、一つになる感覚。



「まるで俺とお前はこうなることが当然だったみてぇに具合が良いじゃあねぇか」 

艶然と笑う鯉伴に、どうしたらいいか分からない愛しさが湧いて・・・
腕をその肩に絡めて求めた・・・

「やけに積極的だなぁ、常世」

この声も。瞳も、体も、欲望も・・・全部、今この時は俺だけの物だ。

「あああぁぁぁ!!!鯉伴!!!ああぁ!!」

夜は・・・深く・・・堕ちて・・・
二人は互いを貪った・・・




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