堕ちる

人の京の花街の闇に妖達の花街がある・・・
その花街一の大店の一室。
こういった店の朱の布団の上に、口付けられながら鯉伴によって俺は押し倒された。

「っぁ・・・性急すぎだ・・・・・」

息も絶え絶えに言っても口付けが上手すぎてクラクラする。
シュルッと衣擦れの音が響いて。
漆黒の羽織も白銀の刺繍を施された帯もぬらりひょんの手によって解かれて・・・俺は自分の絹衣の上で一糸纏わぬ姿になった。
その俺の体をぬらりひょんが熱を持って、つぶさに見ているのを感じてゾクゾクと感じてしまう。

「綺麗だ・・・」

手が…普段、刀を持つ手が、俺の肌を撫でる。

「あっ・・・」

ツゥーと咽喉から胸元・・・・・そして腹まで、なぞられて・・・・・熱い・・・・・

「もう濡れてる・・・」

あんな口付けで蕩けさせてるんだから当たり前だと言えなかった・・・
おもむろに、ぬらりひょんが俺のそれを口に含んだから。

クチュッと音がして、快楽が駆け抜ける。

「ふっ あっ つっっ 」

コイツが・・・江戸の総大将のぬらりひょんが・・・こんなことをするなんて・・・信じられなくて・・・恥ずかしい・・・
ぬらりひょんの肩を掴んで快楽に耐えようとしても耐えられなくて。
対等でいたい・・・男としての矜持が、快楽に流される・・・

「やめぇ、戯れが過ぎるぜ、んっあぁ・・・・」

クチュッピチュッと手も使って俺を嬲る鯉伴・・・・・
色香が薫るその姿に咽喉が鳴ってしまう・・・・・

「戯れじゃねぇ」

けれど俺のところに口付けたまま話すから吐息がまた快楽を生む。

「あぁっ、そこで話すなっ、」

そう言うと、鯉伴は身を起こして、俺の耳朶を甘噛みして囁く・・・

「イイんだろ?一回出せ」

でもそれは嫌だと想った。俺が先にイッたら・・・・・

「負けなんかじゃねぇよ・・・俺がお前のイクところを見たい」

ハッとして思わず、間近の端正なぬらりひょんの顔を見てしまう。
言いあてられて羞恥に頬を染めると鯉伴はクックッと楽しそうに笑った。

「可愛いな、常世・・・」

スルッと下肢にしなやかな鯉伴の手が伸びて・・・簡単に快楽を引き出される・・・

「あっああっ!!よせっ!!!あぁ!!」

グチュッ、ヌチュッ、ビチュッ

と激しく梳かれて、裏もなぞられて快楽に喘ぐ・・・と、その隙をつかれ、次の瞬間、俺は後ろに鯉伴の指の侵入を許していた。

クチュリッ

初めての圧迫感と比較にならない感覚。

「あっはあぁ!!!んぅ!」

唇を噛んで耐える。
けれど体は正直でズブッズブッと鯉伴の指を飲み込んでゆく。

「すげぇな、美味そうに俺の指を食ってるぜ・・・」

ペロッと噛み締める俺の唇を舐め上げて、そう囁く鯉伴の余裕そうな微笑み。
俺ばっかりが煽られる。なんたって鯉伴はまだ着物を脱いですらいない・・・

「もう来い、・・・・・」

それが悔しくて悔しくて・・・恥を忍んで頬を染めて言ったら、鯉伴はニヤリッと笑って。
「もっと乱れろよ」とグジュッグジュッに俺の中で指を動かす。

快楽が一気に脳髄を突き抜けて・・・・・
鯉伴の指が増えてゆく・・・・・


「あっっあんっやめっ!あああぁあ!!」

たまらない

たまらない!

こんなのは、たまらない!!

「あぁっ つっ ・・・んぅ・・いぃっ、ふぁっっ んんっ てめぇっ」

指だけでこんなに乱れさせられている自分が信じられない。
京の百鬼夜行の総大将だぞ俺は。
女だって数え切れないほど抱いたのに!翻弄される!!

ぬらりひょんの漆黒の瞳が妖しく俺を見ている。
ニヤッと笑って、やっとぬらりひょんは指を抜いて、自分の着物を脱いだ。

はぁっはぁっと息を整える合間もなく・・・ぬらりひょんは俺に覆い被さった・・・

「俺を想えっ 俺に貫かれて 犯され、てめぇの瞳に俺しか映すな」

なんて圧倒的な存在感。
艶やかな闇
漆黒の瞳に全てが、俺の全てが塗り替えられる・・・・・

熱が俺のそこにあてがわれて・・・・・

グチュリッ

「あぁぁ・・・・・」

ゆっくりとこじあけられるような感覚
じわりと自分の知らない自分が、この艶やかな妖の瞳の前に曝される感覚

鮮烈に支配される・・・
自分が・・・
京を統べる俺が・・・

そして熱が、ぬらりひょんの熱が奥の奥まで俺を犯した。

「はいったぜ」

そうニヤリッと笑い、次の瞬間に激しく突き上げられた。

「っっ!!」

熱が奥に叩きつけられる。
自分の全部が揺さぶられる、快楽で体が熔ける。
グチュッ、クチュリッと音が絶え間なく響いて音でも犯されてゆく・・・

「頭がぁっ いかれるっっ」

快楽が身の内を突き上げて・・・ぬらりひょんからの激しい嵐に翻弄される。

「いかれろっ 見ててやるっっ」

鯉伴の快楽に染まった低い声。
吐息。汗。たまらない。
俺だけを見詰める鯉伴の瞳・・・・・

「あぁぁっ!!あっん!!!」

グリグリッと奥を掻き混ぜられて頭が真っ白になった。

「やめっ!!そこぉ!!」

逃げようと腰を浮かしてもグイッと力強い腕に「逃げるな」と戻される。

「ああぁあ・・・・・」

たまらない。この快楽に頭がいかれる。
気付けば俺は達していた。
トロリッと白濁した液が俺の腹を汚す。

はぁっ、あっ、はぁっ・・・んっ・・・・

乱れている息は果たしてどちらのものなのか・・・・・

鯉伴は俺のその液を指ですくうと紅の舌で舐め上げた。
その鮮烈な色彩と・・・欲望・・・に俺はクチュッと知らず鯉伴自身を締め付けていた。

「っっ・・・いいな、常世・・・」

それに切羽詰ったような顔をする鯉伴。
また次の瞬間には激しく突き上げられた。

「ぁぁっっ!よせえぇ!!ぁん!!うぁ!!」

イッてすぐの敏感な其処に容赦なく穿たれる熱と欲望。

グチュリッ、ヌチュッ、ビジュッ、クチュッ

奥を突かれる度に自分の脆い理性は剥がれ落ちる。
駄目だ、もう・・・・・堕ちる・・・・・

「出すぞっっ」

快楽でひくついている奥に注がれたら堕ちるってわかる・・・わかってしまう・・・

「ぁぁ・・・出すんじゃあねぇ」

ニヤッと笑う鯉伴・・・・・こいつ俺が今どんな状態か分かってる!!

そして衝撃。
熱が注がれた。
嬌声はカプリと唇で塞がれ、吐息が交わる。
口付けには意志すら食い尽くそうとする激しさがあって。

「んぅ・・・あぁ・・・ぁ・・・・」

注がれる。真白になる。
ドクッ、ドクッと熱が腹の奥まで・・・染め上げられる・・・
やべぇ、こいつに溶かされるっっ堕ちてゆく・・・

こいつに堕ちる・・・・・

京の百鬼夜行の総大将である俺が、江戸の百鬼夜行の総大将に組み敷かれて・・・・・
女のように抱かれ喘いで・・・・・堕ちる・・・・・

罪な妖だ・・・・・ぬらりひょん・・・・・

口付けをしたままで、間近にある鯉伴の艶美な瞳を見詰めて、常世はその漆黒の瞳を閉じた。




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