神のきまぐれ


冬の森の夜、本来であれば生き物が寝静まった時間帯。
今夜は解放されたロキのために、今まで彼女が解放した神々が集まり酒や料理に舌鼓をうっていた。
盛大な祝賀会だ。

次々と新しい神が彼女の元へ足を運び、会話を楽しみ、笑い合っている様をロキはこちらも酒が入って上機嫌なトールの側で気ままに過ごしながら見ていた。
たかが人の子、限りある命しかない脆いものがああやって神々に囲まれている様は面白いと思った。
笑いながらロキは酒をあおった。




久々にトールと会って機嫌が良かったのかもしれない。
世界中の神々を解放して回っているというシンキに興味が湧いたのは。
祝賀会で神々が帰った後にロキはらしくもなく尋ねていた。

「アンタ、どうして神様解放して回ってるんだ?」

ロキにしては珍しく心底の疑問だったが、彼女の後ろに控えてコチラを見ている守護神であるジークフリートを視界に入れた途端に、先程の気持ちが霧散して、どうでも良くなってしまった。

「まぁ、目的なんてどうでもいいかぁー」

たかが人の子だし。
ロキ様は気まぐれなのだ、と自分で自分を嗤った。

それなのに彼女はまた凛とした瞳でロキを見据えて言葉を紡いだ。

「ロキ様も、神々を解放する私の冒険にどうか力を貸してくれませんか?」

一瞬の間…
彼女の後ろで彼女の守護神のジークフリートが驚愕の表情を浮かべているのに、
なぜかロキの溜飲が下がった。

神様なのに目の前で他の神に守護を求められるって、スゲー、可哀相♪
ロキは嗤った。

「冒険?へーぇ、面白そうなことやってんジャン」

だからつい、そんな答えを返してしまった。
本当はそんなの面倒くさいと思ってたのに…けれど、ロキの言葉に彼女が嬉しそうにして、後ろの守護神が冷徹な視線をロキに投げかけているのが楽しくて楽しくてロキは笑った。

「いいぜー!ほぉら、アンタを守ってやるよ!アハハハハ!」

彼女の頭に手を置いて、そのまま力任せにグシャッと髪の毛を混ぜれば、彼女は呆れたように溜息を零して、後ろの守護神は腰を浮かせる。

愉しくて堪らないんだけどぉ!

「キハハ!よぉ、どぉした?」

わざと何でもないように声をかければ、
彼女は手櫛で髪を整え、ジークフリートはまた座りなおす。

ロキには愉しくて堪らなかった。

その日から、彼女に守護神として同行する神が増えた。




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