ACT.ヒノエ





「ヒノエ君!!見て!!」

ザアアアァァァァァ

鮮烈に…俺の瞳に焼き付いた光景…華の京…花の春…

薄紅の桜の中をお前がゆっくりと歩いて、振り返る…俺を…そして呼ぶんだ…甘い声で…


眩しい…


そう…お前は咲き薫る華…


その華弁に触れたいと望む蝶が飛びかって…俺は…時々、お前を焼き滅ぼしてしまいたくなる…


いっそ大切になどしないで…ズタズタに切り裂きたくなる…そうすればお前は俺を忘れられないだろうから…永遠に…


本当は誰の瞳にも映させたくない…お前は俺の者…

お前が咲くのは…ただ俺の為…そうだろう?

その艶麗な姿で俺を魅了して…その薫りで俺がお前を手折るのを誘う…

そんな妖しさ…


ただ指先が触れただけで…ただ戦いの中…互いの信頼を感じただけで…


心が震える…涙が出そうな程…何も…お前以外、考えられなくなる…


愛しくて、愛しくて、愛しくて、愛しくて、愛しくて…あまりに深くて…あまりに遠くて…


俺が俺でなくなってゆく…


自分の『たった一人』を見つけてから…他は…どうでも良くなった…

それは残酷なこと…そう『たった一人』しかいらない…他では代わりにはならない…絶対に…

『たった一人』しか必要ない…ということ…

『たった一人』だけが俺の隣りに立てるということ…


愛してる…この言葉を…全ての想いを伝える術が無いけれど…ずっと俺はお前の側にいるよ…


おいで…


…俺の花嫁………





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