あの後、俺は考えることを放棄した。
難しく考えるのは苦手なのだ。

身支度を整えて臨也のマンションを出て、池袋の小汚いアパートへ帰宅。
洗濯物を洗濯機に放り込んで、がこんがこん動いてる間に風呂へ入った。
臨也が綺麗にしてくれたけど、やっぱり風呂入るとサッパリした。
洗いあがった洗濯物を干して仕事に出かける。

今日の俺はツイていた、とんとん拍子に回収が進む。
だが最後に落とし穴が待っていた。

「静雄、今日は一杯いかねぇか?」とトムさんに言われてブクロの地下にある飲み屋へ入った。
そして・・・俺は、酔っぱらった。

「静雄、お前飲み過ぎだ」

トムさんの言葉も曖昧に聞こえるぐらい、なんて返事したのか覚えてない。

「ったく、静雄ー」
「んぅ」

グデンッと体が揺れて誰かに抱き締められる感触、そしてそのまま支えられて立ち上がる。
「ほい、よっと」
膝の裏に手を回されて、背にも力強い誰かの腕。
それが所謂『お姫様だっこ』というヤツだと俺は分からなかった。
ただ体が揺れてる。
地下の飲み屋の階段を登る音、そして外へ出ると空気が変わり喧騒に溢れていた。

「タクシー呼んでくるからよ、お前ここにいろ」
「うぃっす」

会話の間が分からない。
足音が遠ざかっていった。

俺は、何をしてる?
今、どこにいるんだろう。




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