目を開けたら、臨也は居なかった。
あまりに激しすぎて意識を飛ばしてしまうのは、結構ある。
そもそも男同士だから負担が半端ないんだ仕方ない。

アイツのマンション、アイツのベッドの上、かけられてたホワイトカラーの掛け布団を少しめくって体を確認すると綺麗に清められてる。
よくあるシチュエーションで欠伸を一つ。
「ふぁ」
よく寝た。
上体だけ起こすとベッドの横に備えられてたサイドテーブルに「いろはす」が置かれてた。
臨也がいつも通り置いてくれたんだろう。
それを手に取ってゴキュゴキュ飲むと、体全体に水が染み渡るような感じがして生き返った。

「あー、仕事」
今日は遅番だから、一回家に帰って着替えて、洗濯回して干すぐらいの時間はあるだろう。
嫌な客に当たらないで欲しい、マジで怒りが抑えらんなくなる。
ついでに、臨也とも池袋で逢いたくない、逢えば殺し合いになる。
俺が望まなくてもだ。

体を繋げても、俺たちの間に愛情なんてない。
俺が一方的にアイツを意識してる自覚があった。

アイツは俺によく囁く『早く死んでよ』と。
それにブチ切れて『ふざけんな、俺が殺してやるよ』とつい返してしまう。
けどその度に俺の胸は軋み、痛みを発していた。
切れている時は良い、ぶっ飛んでいるから、でもフッと正気に返る瞬間に俺の胸は軋みあがる。
それは例えば臨也にナイフで切られた瞬間、臨也の紅い瞳に俺が映りこんだ瞬間・・・俺はその一瞬に、俺自身を嫌悪する。
そして反面、俺から離れない臨也に・・・ほんの少し安心感を抱く。

そのブレが俺自身が感じる俺の人間らしさであり。
臨也への複雑な想いを形成する根源だと思っている。
臨也に抱かれる、女のように扱われて欲望を受け止めると、自分の輪郭が曖昧になって感情が熔ける。

愛してるし憎たらしい。
飛び切り格好良くて、醜悪。
そんな感情。

つまりは二律背反。

俺たちの日常。




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