4(過去回想)
これは今へ通じる過去のお話。
マリフォードより以前。
エースがマルコにモビーディック号の酒の席で「好きだ」と告白する前。
二人にあった日々。
「エース隊長!昼飯!一緒に食いましょう!!」
いつものように太陽は眩しい。
モビーディック号が春島が近付いて、気候が暖かい。
「おぅ!!今行く!!」
それに応えるとエースは駆け出した。
彼の満開の笑顔に周りもつられて笑みが浮かぶ。
「今日のメシはなんだろうな」
歌う様に話すエースは、食事が出来て嬉しいと体全体で表現している。
そして食堂に入った。
モビーに乗るクルー達の胃袋を満たす食堂は広くて、入った瞬間に食欲をそそる良い匂いがする。
「わー!よし食うぞ!」
テンションが一気に上がって、バイキングの列へ向かったところで、エースは視界で捕らえた姿に足を止めた。
マルコ
そしてマルコと並んで食事を取るのは一人の女性。
マルコと付き合ってるナースだ。
それだけでエースの胸はトクッと痛んだ。
憧れてた、一番隊隊長を任されて、オヤジからも信頼されていて・・・
その信頼が羨ましいけど、あぁ凄いなって受け入れられるぐらいマルコは器が大きかった。
マルコと俺はもっと仲良くしたかったけど、マルコは自然とモビーに昔からいる古参の奴とつるんでたし、
俺は俺でスペード海賊団の連中とよくつるんでいたから、俺は仕事上以外でマルコと個人的にっていう付き合いは記憶がない。
兄弟だし、仲は良いけど・・・皆、そうだ。
俺が兄弟になるって決めて数ヵ月後から付き合い始めた二人を俺は遠くから見てた。
二人だけの世界。
男の親友だって立ち入れない、
女の彼女だからこそ入れる世界。
二人でこうやって昼食を取る、当たり前に。
二人で陸に上がって買い物を楽しんだりする。
それが羨ましくて堪らないなんて俺はどうかしてる。
マルコが好きかって聞かれたら、大好きだって言える。
マルコは俺がロジャーの息子と知っても受け入れてくれた。
誰から産まれてもエースはエースだよい
言葉がこんなにも優しくて嬉しくて。
生きていて良かったと想えた。
生きていて良い存在なのかと聞かれたら分からないけど。
自分が生きていて良かったと想えた。
理由なんて挙げようと思えば、
挙げられるけど、
理由なんていう必要は無いぐらい、
自然に、当たり前のように、
好きだった
恋してた
そう好きなんだと思う
好きなんだ
もしかしてこれは「弟」が「兄」を女の子に取られた時に感じる嫉妬なんじゃないかとか思った。
でもマルコとその子が一緒にいるだけで、俺のやわな心臓は痛みを発した。
止せばいいのに俺は食事を取りながら二人が視界に映る場所に座る。
気になって仕方が無くて。
他愛も無いことを談笑しているのだろうか二人が食事を取り終わって笑ってる。
マルコが笑ってる。
俺もマルコと話したい。
マルコと自然に当たり前のように一緒に食事をとりたい。
そんなことを思っていたらマルコが机を挟んでスッと彼女の側に顔を寄せた。
その男っぽい表情に俺の心臓がトクッと騒ぐ。
ダメだ
見たらいけない
二人の距離がなくなる
唇が触れる
その永遠のような一瞬・・・
胸が痛くてたまらない。
←◇→