上陸編
上陸は何も羽を伸ばすだけが目的じゃない。
海上では足りなくなる物資の補給が重要になってくる。

補給する部隊は勿論居るが、それとは別に皆、個人的に補給する。
特に隊長なんかは部下が買出しに失敗したなんかの為に多く物資を確保しておいた方がいい。

モビーから連れ立ってエースと出て行く、
すぐにエースに

「次の航海用に私物を先に購入しないかい」

と提案すれば、エースも分かっているとばかりに、

「俺は非常食と服、あと酒かな」

と答えた。
エースも流石船長をしてきただけあって話が早い、自然と笑みがゆるゆると浮かんでしまう。

「気が合うな、エース」

と言えば、エースは悪童のように魅力的に・・・それでいて海賊らしく笑う。

「当たり前だ」

陽光に照らされる、その笑顔に切ないぐらい嬉しさが溢れた。

エースが側にいる・・・


『SIDE・A』


モビーから連れ立ってマルコと出て行く、
すると直ぐにマルコから、

「次の航海用に私物を先に購入しないかい」

そう提案されて流石だと思う。
上陸した人間は浮かれて遊ぶことを優先してしまうが、自分が必要とするものを先に補給してしまった方が、ユックリできるし、物資が無くても代用を探したりする時間があるって訳だ。

「俺は非常食と服、あと酒かな」

そう言うと、マルコは俺の答えに満足したかのようにフッと魅力的に笑って、

「気が合うな、エース」

と言うから、俺も返すように笑う。

「当たり前だ」

マルコのこんな野生的な笑みが俺はけっこう好きだったりする。

先に必要な物を買い出そうと、決めたは良いが。
海から吹きつける風には潮の香りが溢れて、そんな風通しが良い界隈に並んでいる露店や雑多な雰囲気の店々についついエースの足は止まった。

「マルコ、これ美味そう!!」

そう言ってエースが指差したのはイカ焼き、香ばしいソースの匂い、威勢の良い店主が「直ぐそこの海で取れたイカだから美味いよ!」と掛け声をかけてくる。

こうやってエースと回るのは楽しい、楽しくて・・・過去の俺は何やってたんだと、後悔が浮かぶ。

少しの自嘲。

「買ってやるよい、一匹でいいか?」

そう言えば、「マジで!!マルコ有難う!!」と満開の笑顔だ。

それに救われる。


なぁ、エース。
お前に以前、島を一緒に回ろうと言われた時に断ったんだよい、俺は・・・

海賊なんて、いつ命を落とすかもしれないってのに・・・俺はエースがずっと側にいると想ってたなんて馬鹿だろい?

いなくなると知っていたら・・・

『好きだ』

エースにそう告白されて、俺はきっと考えて考えて答えを出したと想う。

エースに向き合わなかった。
「弟」だから、何も考えなかった・・・

喪って始めて、その存在の大きさに足が竦んだ・・・エースの冷たい体を抱き締めて、エースの笑顔を思い出した。

エースの望むことを叶えてやって、エースの幸せを俺はもっと考えるべきだったと想ったんだよい。

家族で、

弟で、

人として

エースが大切で愛してると、

伝えることすら

俺は出来なかったんだよい

エース・・・





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