SIDE・A

マルコは仕事が出来て、大人で、俺はその考えに追いつけないんだろうか。
エースはマルコを見つめた。

「隊を再編する、二番隊のティーチを俺の一番隊へ入れるよい。」

そう淡々と言われて、他の隊長もマルコの仕事が楽になるならという雰囲気で何も言わない。

何で、俺の二番隊のことなのにマルコが決めるんだ?
可笑しい、絶対に変だ。
道理がある筈だ。

つい怒りがカッと湧いて口が出ていた。

「何で勝手なことをするんだ!!」

俺の向かいの席のマルコは悠々と俺の視線を受け止めて・・・微笑む。
まるで好ましい者でも見るように見詰められて、少し毒気を抜かれた。

マルコのこういう笑顔、今日何度も向けられている気がする・・・胸が熱い。


すると俺の隣りの席のサッチが言葉を紡いだ。

「エースの言う通り、急すぎるぜマルコ。
ティーチは俺やマルコと並ぶ古株だ。
エースの世話に丁度良いって言ってたのはテメェじゃねぇか。」

サッチの言葉に俺は瞳を見開く、そんなの俺は知らない。
聞かされてもいない。

俺が頼りないから?

マルコに視線を投げれば、机の上で手を組んでため息を付いていた。
マルコの、真剣な空気に何か哀しくなる。

俺・・・全然頼りにされてないんだ。

と思った。
その上でマルコは視線を上げて嘲るような笑みを浮かべた。

「反対意見は俺の仕事全部やってから言ってくれよい。」

冷たい声音に、胸が痛い。
そんなの不可能だって分かってる。

古参のクルーとして、一番隊隊長として、長く勤め上げているマルコの仕事を正確に把握している者は居ない。
それは同時にマルコの代わりが誰も務まらないことを意味している。

でも俺はアンタの力になりたいんだよ!
なんで分かってくれないんだよっ
なんでこんなに苦しいんだっ

「なんだと!マルコッ!!」

こんな言葉なんか言いたくないのにっ
衝突もしなくないっ

哀しかった、
哀しくて、叫んでもマルコは俺と視線すら合わせてくれない。
ぶつかってすらくれない。

マルコ

「ティーチは俺の隊に移動。これは周知のこととして頼むよい」

マルコの少し俯いた顔を見る。
マルコは結論を言うと、席を立った・・・もう終わったことのように。

俺を見てくれない。
唇を噛んで、俯いて耐える。

マルコの書類が抱えられた右手が力が込められて、白くなっていたことに・・・
俺は気付かなかった。




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