SIDE・M

感情を吐き出して、涙を「親」に受け止めて貰えて、暫くするとマルコの気持ちも落ち着いた。

白髭はそんな愛する息子の頭をぽんぽんとその大きな手で叩く、そして破顔一笑。

「グラララララッ、抱えすぎだ、息子。
何の為に親がいるってんだ。
少しその肩の荷を預けな、それにお前には兄弟だって居るんだからなぁ」

青空を背景に向けられた大好きな人の笑顔にマルコもニッと心からの笑みを浮かべる。

「あぁ、そうするよいオヤジ!」

なにせ此処はまだ『喪われていない世界』だ。

きっと運命を変えてみせるよい・・・


そしてマルコは「オヤジ、ありがとよい」と言うと、兄弟が待つ会議室へと足を向けた。


そして去りゆく息子の背を見送った白髭は自身の髭を撫でた。
彼の目が細まって、年月を蓄えた皺が寄る。

何か大きな決意を秘めた目をしていた「息子」。

その変化に気付かない親じゃない。
ましてや、あの我慢強い「息子」が泣いたのだ。

「・・・何か起こるなぁ」

伝説の海賊は、何かが起ころうとしている予感を感じていた。

けれど、モビーディック号を照らす陽光は何時もと同じように暖かかったのである。




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