『再生編・1』SIDE・A


今日は次の上陸する島についてのミーティングをするっていうんで、朝から隊長全員が呼ばれた。

俺が着いた時には、まだ半分ぐらいしか来ていない。

いつもの光景。

でもその日、いつもと違ったのは上座にある「ある人」の定位置が空いていたってことだ。

サッチが俺に気付いてヒラヒラと手を振る。

「おーい、エース、マルコが起きてこないんだ、ちょっと呼んできてくれないか」

そうマルコが今朝はいなかった。



珍しいこともあるもんだなと、俺はマルコの自室へ向かう。

ノックをしても返事は無い。

普段なら寝坊も遅刻もしないし、これで起きるマルコがだ。

首を傾げて、ドアを開けるとベッドの上に眠っている姿があった。

「マルコ、起きろよ!」

そう言うと、鳥の羽ばたきのように瞳が開く。

蒼の海のような瞳が開かれる。

何故か無防備なその瞳に魅入られそうになった。

「マルコ、朝だぞ」

繰り返しで言えば、マルコは状況が把握できないのか、息を飲むように言葉を紡いだ。

「エース、お前・・・」

そして・・・俺は静かな驚きで瞳を見開く。

マルコが泣いていた。
あのマルコが、俺を見詰めたまま驚いた表情で呆然と涙を流し続ける。

「マルコ、どうしたんだ?」

俺の手が自然に伸びた、

「哀しいことでもあったのかよ」

俺がマルコの涙を拭うのにマルコは手を振り払わない、

「いや」

否定の言葉を紡いで、マルコが淡く笑う。
こんな風に笑うのを始めてみた。

「嬉しいんだ、幸せで泣けるんだよい」

そう言って、また零れた涙が綺麗だと想った。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -