再生編
マルコ

そう俺を呼ぶ懐かしい声が聞こえた。

聞くだけで胸が熱くて、泣きたくなる様な声。

あぁ俺はこいつの声が本当に好きだったよい。

そんな馬鹿なことを朦朧とする頭で考えた。


また呼ばれる。


「マルコ、起きろよ!」


低い明朗快活な声で。

覚醒へと揺り起こされる。

ゆっくりと起きると其処に・・・


エースが俺を覗き込んでいた。

「マルコ、朝だぞ」

また呼ばれる、これは夢だ、息が上手く出来ない。
だって俺は死んだ筈だよい。

オヤジとエースを喪った後、未来で死んだ筈。

けれど目の前のエースは漆黒の髪も表情も酷くリアルで。
息をして、動いている。

この現実に俺の中で仮定が構築されてゆく。

もしかしてこれも「不死鳥」の能力だろうか?
死んだ後に火葬にしろと言ったから、だろうか?

目の前の切なく懐かしい姿に泣きそうになる。

「ェース、お前・・・」

声が掠れた。今、自分はどんな顔をしているんだろう。
エースの黒曜石の瞳が見開かれる。

「マルコ、どうしたんだ?」

どうしたって、俺が聞きたいよいと、そう思えば、エースの手がスッと俺に伸びて、

「哀しいことでもあったのかよ」

俺の頬に流れていた涙を拭った、
そこで俺は初めて自分が泣いていたことに気付いた。

哀しくはない、全く逆だ。
此処にお前がいるから、哀しい夢は覚めた。

「いや」

自然、僅かなを笑みを浮かべる。

「嬉しいんだ、幸せで泣けるんだよい」

そういった先で、また涙が零れた。




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