シャンクスver逆行
「シャンクス」VER
なぜ、俺だったのだろうか?
なぜ、時代は俺にこの苦行を強いたのだろうか?
問い続けても応えは、ない。
この日が来た。
何度も、何度も繰り返し、寄せては去る波のように・・・俺の心に繰り返し、ある想いが浮かぶ。
これで正しかったのだろうかと・・・俺は一度深く瞑目した。
そして目の前に広がる戦場に、視線を投げる。
「この戦争を終わらせに来た。」
この言葉を言うのは、二度目だと気付いているのは俺だけだ。
亡き白ヒゲを悼む泣き声で、戦場が包まれる。
海兵達も項垂れて戦いの傷を互いに支えている。
喪ったものは大きく、得たものはなんだったのか。
俺はこの光景を知っていた・・・
そしてそれを防ぐことも出来た・・・けれどしなかった。
次の時代の為に・・・
マリンフォード頂上決戦を切っ掛けとして世界は新たに動き出す。
その絶望を希望に変えて、その悲しみを明日への力へ変えて・・・
人々は歩き出す・・・
だからこそ俺は、未来を『変えなかった』。
これが正しかったのか、そうじゃないのかは分からない。
運命に抗う重さを抱えきれないだけで、逃げているのかと自問自答したこともあったが。
違う。
この悲しみを乗り越えて成長したルフィの姿も俺は知っているから・・・だからこそ、俺は、未来を変えなかった。
この先の未来へ、希望を・・・繋ぐために。
<後書>
シャンクスは逆行しても、運命を変えないと思ってます。
必死に生きて生き抜いた、白ヒゲとエースを尊敬し、それを捻じ曲げず讃え、再度見送るかと想い、こうなりました。
この後の未来のことも考え、この決戦を人々が乗り越えてゆくことが大切なことだと彼は考えていると思っています。
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