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本当、頭が足りないのばっか。

「青雉さん、はい今日のお菓子」
「…はい、どーも」

俺の直属の部下で先日少佐に昇進したばかりのこの女はニナちゃん。暗器の使い手で、どこになんの武器が隠されているか、俺も知る由はない。
なんとも危ない女だ。

…まァ、その危ないってのは、
ただ物騒って意味だけではない。

「あ、センゴクさん!お菓子どうぞ!」
「おぉ、ニナ。じゃあお返しにおかきをやろう。」
「やった!」

センゴクさんと、お菓子交換なんてことをしてニコニコしている彼女を見つけて、俺は思わず頭を抱えた。誰にやってんのかわかってんのかね…。
ニナちゃんは、無類の菓子好き。
甘いものもしょっぱいものも、辛いものも。
菓子類だったらなんでもいいらしい。
それもあって、「私のおすすめをみんなに知ってほしい」とかいう謎の使命感から、よく仕事の合間にああやって菓子を配りまわっている。なんなら、サカズキにだって差し入れしている恐れ知らずの女だ。
なんで俺のとこには野犬といい…こういうやっかいなのが部下にきちまうんだろうね。


「よォ、ニナ。」
「げ。…ドフラミンゴ」

「フッフッフ!げ、とは大層じゃあねェか!」


そこに表れたのは、七武海ドンキホーテ・ドフラミンゴ。厄介な奴で、こいつもまた、ニナちゃんを気に入っちまってる奴の一人。

「海賊にあげるお菓子はないっ」

正直、ニナちゃんを奴にはあまり関わらせたくない。そう危険信号を出す俺の脳に従って、彼女を捕獲しに行く前に、べーっと赤い舌を出して挑発をするニナちゃん。頼むから、奴を刺激するな。

「ンなこと言いながら、前もくれたもんなァ」
「あれは、貴方がしつこいから仕方なかっただけよ!」

「フフフ…!そんなうまそうな舌ァ出してっと食うぞ」


あああ、言わんこっちゃない。
ドフラミンゴの手がニナちゃんに届く寸前に、俺は彼女の肩を引き寄せ、ようとしたが、別の人物にそれは奪われていて。

「薄汚い手でニナに触るな。ドフラミンゴ」
「鷹の目…!」

肝心のニナちゃんは、十字架の形の長刀を背負う鋭い目をした男に抱き寄せられていた。なんだってこう、今日は!俺は二人の海賊を目の前に、氷漬けにしてやりたい気持ちを押さえながら声をかける。

「いやいや…薄汚いのはお前も同じだから。返してくれる?」
「断る」
「フッフッフ!鷹の目…独り占めたァ、ずりィじゃねェか」
「黙れ。貴様の笑い声は不快だ」
「ひでェ奴だ!」

七武海二人と俺に囲まれたニナちゃんは、目を白黒させながらキョロついている。俺だってこんな状況になるなんて、ニナちゃんが配属された2年前には思いもしなかった。けど、なんたってこの子は、あまりに危なっかしいんだ。
あまりに、危機感がない。
彼女は仲間内には甘いことは多いが、海賊にはそうじゃない。海賊のことは基本的に嫌っているはずだ。


『青雉さん、私…ッ何が正義なのか…もう、わからない…っ!』


…基本的には。

脳裏に浮かんだ一つの記憶を押し返す。
ただ、戦闘での強さとそのときと同じ危機管理能力は、なぜか普段のニナちゃんには存在しないことの方が多い。だからこうやって、やっかいな奴らが引き寄せられちまう!
そんなこと考えている間にも、ニナちゃんは二人のクソ海賊の間で手やら肩やら顔やら、いろんなろことを触られては引っ張られている。それを見た俺は、堪忍袋の緒が切れた。


「とにかくお前ら…ニナちゃんから離れろ!!!」








星々は惹きつけられる








引力みてェに


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