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  11


酒の影響だろう頭痛で、重たい目を薄く開ける。部屋のカーテンが開けっ放しのせいで、まぶしさにもう一度目を閉じたい衝動にかられたが。
久しぶりに、”寝た”という感覚。

…寝るのは苦手だ。
あの人を失う夢ばかり、何度も見るから。

しかし、昨日はその悪夢に追いかけられた記憶はない。
きっとその原因は、ベポとは違う柔らかさと、温かさ。
鼻に感じる香水とは違った優しく甘い匂い。


「…ニナ…」


俺の頭を抱え込むようにしてすやすやと寝息を立てている女の顔を見る。
お人よしめ…
いい歳の女が、酔った男とそのまま一緒に寝るとか…。
無防備にもほどがある。
まァ、お互い服を着ているところから見ても、何もなかったんだろうが…。


「オイ…このまま寝こけてると…」

襲っちまうぞ


その言葉を飲み込んで、ニナの髪を梳いてやる。
海を知らない柔らかい髪に指を通す。
頬にも指を滑らせると、くぐもった声をあげるもんだから、俺の欲を疼かせるには十分すぎた。

昨日、久しぶりに酒で酔っていたことは覚えている。
シャチたちと楽しそうに話すコイツが、どうしても気に入らなくて俺のそばに移動させたことも。

俺にも、向けてほしかった
って、餓鬼みてェな理由だ。

ニナに、俺の隣で笑ってほしい。

俺にわがままな行動をさせるくらいには、独占欲の塊がでかくなっていた。
膝枕までしたことも、それが妙に嬉しくて腹を抱きしめたことも、その感触と匂いがあまりにも心地よくて思わずそのまま寝ちまったことも、本当は能力で俺の腕から逃れられたのにコイツはそれをしなかったことも。


コイツに…ニナに、心を持っていかれる
いや、俺は既に…


「ん、…ロォ…?」

考えこんでいる間に目を覚ましたようで、俺の名前を寝起きのかすれた声で呼ぶニナ。
…に、俺のなけなしの理性は、どっかにいっちまった。


「?ロ…ッン…!?」


ニナの頬を引き寄せて柔らかい唇にかぶりついてやる。
寝起きでぼんやりしていた意識が一気に取り戻されたのか、俺の胸板をぐっと押し返してくるが、俺には煽りにしか感じられない。
半分閉じていた目が開かれて俺の目と合うと、俺の手に包まれている頬が急激に熱くなっていくのがわかった。


「んぅ、っふ…ァ」


無理やり口をこじ開けて舌を押し込むと、苦しそうに息が漏れる。
執念深く舌を絡めとって、歯列を舐めてやる。
頬から耳へ掌を滑らせれば、ビクリと肩が跳ねた。
あァ…クソ、

このまま抱きつぶして俺のモンにしちまうか

そんなことを脳裏に浮かべながらも、ドンドンと何度も俺の胸板を叩く小さな手に、どうにか欲を封じ込めて従うことにした。

「んっは、ァ…ッ」

ちゅ、と最後に唇を軽くつけてからゆっくりと離れると、俺とニナの間に銀糸がつながった。
取り戻した理性をまた吹き飛ばそうとしてきやがる。

ニナは息を整えながら俺をギッと睨みつけると、左頬に衝撃を与えてきた。


「ッバカ、ロー!!」
「ッ…クク、…、そんな顔で言われてもなァ、ニナ」

煽られてるようにしか感じねェよ。


「っ〜〜〜知らないッ」


ニナは俺の言葉にさらに顔を赤くして、もう一度「バカッ」と叫んでから、昨日のデジャヴを感じるような勢いで部屋を飛び出していった。
バタンッと思い切り絞められたドアを見つめながら、平手を受けた左頬を触る。(しっかり全力かよ…)

頬に残る痛みよりも、ニナの唇と舌の感触、柔らかい頬や耳、…
何より、唇が離れたときの惚けた顔が焼き付いて離れない。
…よく抑えたもんだ。
自分でも感心するが…







攻略は、時間をかけて








ゆっくり、じっくり
やってやろうじゃねェか


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