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  10


ジャンバールさんにお酒を渡して、ウニさんが水を取りに来たから準備して渡そうとしたら、目の前にローがいる。
あれ?
よく考えると私が座ってる場所が違う。(あっちにいたような…)



「おい、ニナ」
「うわ…ロー、とりあえず、水飲んで」


話しかけられて気づく、明確なローの異変。
顔自体はほんのり赤みを持っている程度だけど、声がふわふわしている。
何より、隣にいるペンギンの顔がそれを物語っていた。
私の持っている水を一気に飲み干すと、据わった目が私を捉えた。

「ニナ、何故俺のところに来ない」
「え、なんでかいつの間にか来たけど」
「キャプテン、ニナが困ってますって…」
「うるせェ、俺に指図するな」

ちょっと正直意外。
ローってクールにお酒を飲む人…酒豪みたいなイメージだった。
けど、そのイメージは目の前の現実に打ち破られている。
ローの言動を止めようと肩に置かれたペンギンの手をぶんっと振りほどくが、そのままバランスを崩してぽてんと転がってしまった。

「ちょ、ロー!」
「…ひざ、」
「え」

「ひざ、枕しろ」


うとうとと少し眠そうな瞳に、気持ちが揺れる。
さっきさんざん、人のことからかってたローとは別人だ。
さっきまで一緒にいたベポやシャチがなんだかそわついている。(さっきペンギンがいってたみたいに、バラバラにされないか心配しているんじゃないかと思う。)
私の足をがっしり掴んで離さないローを見て、溜息をつくとペンギンが耳打ちをしてきた。「普段はこんなに酔わないんだ…。寂しかったらしい」って。
…なんだそれ。


「ニナ」


そんな甘えた声を出すなんて知らないよ。
そんな目で私を見るなんてずるいよ。
じぃっと私を見つめ続ける瞳に押し負けて、仕方ないと溜息をついた。

「はい、…どうぞキャプテン」

頭を持ち上げて自分の膝の上にぽすんと乗せてやると、ローは満足げに腰に手をまわしてお腹に顔をうずめた。
(かわいいと思ったら負け、かわいいと思ったら…)



「離れたら、…刻む…」



か わ い く な い
前言撤回だッ








しばらくするとローは眠ってしまったようで。
ふと目を甲板に目をやると、他のクルーたちも一部始終を見ていた人以外はすっかり眠ってしまっている。

「キャプテン、寝ちゃったの?」
「そうみたい」

そろりとベポとシャチが近寄ってきて、ローの顔を覗き込む。

「キャプテン、ここ何日かまた寝てなかったんだ」

部屋の電気、ずっとついてたもん

そうベポが眉を下げて心配そうにローを見つめた。
寝てないのは目の下のクマからも想像していたけれど、連日続いているとは想像していなかった。(“また”ってことは、頻繁にあるんだろう)
「無茶ばっかりする人なんだよ」とシャチは苦笑い。
私もみんなの目線につられて、ひざの上の人物に目を落とす。
思わず海風で少し軋んだ黒い髪をふわりと撫でてあげると、規則正しくゆっくりとした寝息に変わった。


                        
「何でも器用にできそうなくせに、不器用なんだよな、"ロー"は」


呼び方に違和感をもってペンギンを見ると、「幼馴染みてーなもんだから」と、微笑む。3人があまりに優しい目でローを見ているものだから、愛されている人なんだと思わされた。

「さってと、ベポ!二人をキャプテンの部屋まで運んでくれ!」
「アイアーイ!」
「え、ちょ、二人って」

「仕方ねェだろ〜キャプテン、ニナのこと放しそうにないし。」

二人の言葉に動揺をする私を見て、さらにニヤリと意地悪く笑うペンギンとシャチを見て、膝の上の男と似たものを感じた。







似たもの幼馴染








…なかがよろしいことで


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