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「"エースくんは、ルフィくんに困ったことがあるんだってね?"」
「えー!?何だそれ!」
「そうなんスよ。コイツ大食いだから勝手に人の食べ物盗るし…」
「それはエースもだろ」
「"あはは!そうなんだ"─────」

麦茶を飲みながらコアラに宣伝された番組を見つめる。テレビから聞こえてくる会話に、ほはあ、と釘付けになる。何故って、この人たちとLINEでやり取りしているということに、未だ信じ難いからだ。
エースくんは相変わらずだけれど、サボくんルフィくんも結構連絡をくれる。(あの本屋さん事件以降、会ってはいないけど)彼らの仕事のこととか、私が今何をしてるとか、あとは今話してた通り3人ともよく食べるからか、美味しいご飯のこととか。コアラからいろいろな情報を貰いながら、彼らのことを追いかけている最中だ。

「よっしゃ!いっくぞ〜!」
「オイ、ルフィ!お前っ!力加減しろ!」
「何やってんだ2人とも!ぶつかってるじゃねェか!」

「……ふふ」

3人は、結構そのままだ。テレビ出みても実際話していても。裏表もない、素直な人達なんだということだろうな。
一方で、全く音沙汰ないのがローさんだ。
本屋さんでの出来事を思い出すと、それだけで熱が出てしまいそうになる。ただ、あの日買った写真集は私の勉強の支えになっているのは事実。癒し。ある意味、連絡がなくてほっとしているところもあるかも、しれない。(心臓に悪いから)さて、番組も終わったしそろそろお風呂に入ろうとスマホを充電器に差して、私はのそのそと立ち上がった。

お風呂から上がってスマホに近づくと、気配を感知して画面が明るくなる。LINEの通知が数件来ていて、トーク画面を開いて私はゴクリと喉がなった。通知のほとんどはコアラ。さっきの番組の感想みたいなのが送られてきている、のは、よかった。問題は、ただ@と通知されたところ。内容とさることながら、そもそも連絡が来たことに驚きを隠せない。
ローさん、だ。


『明日、付き合え』

『ななにかあるんですか?』


『少しな。』
『空いてるのか、空いてないのか』

『学校終わってからなら…!』
『むしろローさん、お仕事は…』


『休みだ』
『明日17時頃、例の本屋にいる』

『はいっ』



「……はあ」

既読がついて、会話が一段落したであろうと安堵のため息を落とす。変なことなかったよね、失礼もなかったよね。
…明日、か。朝から緊張しまくりそうだ。もう一度ため息を落としてから、スマホをもう一度もってコアラに返信と今起きたことを報告した。





「で、何するの?」
「それは、…聞いてないや、そういえば」

ダメだこりゃ、とコアラがガクッと体を揺らす。「憧れの人とお出かけなのよ!」と付け足しながら。…確かに、そうだ。目の保養であり、元気の源にもなりつつあるローさんと、お出かけ。
………いやいやいや

「だからこそ気が気でないよ〜」
「…それもそうか。私ももしニナと同じ状況にサボくんとなったら、たぶん爆発してる」
「そうでしょ〜?」

コアラがようやく同調してくれたことに感動。昨日、連絡きてから写真集を相当見つめて耐性を付けようとがんばったけど、やっぱり無理。だって、かっこいい。どうしたってかっこいい。実物は、もっとかっこよかった。…から困っているんだ。

「まあ、腹くくるしかないわよ」
「はあい」
「今日の夜でも明日でも、報告まってるわね」

じゃ!と手を上げてコアラは教室を出ていってしまった。1人残された私は、これから本屋さんに行くに緊張が高まってきて、深呼吸をする。

「よし」

覚悟を決めて本屋さんに向かった。




………のけど、やっぱり、いざ本人がいるのを確認するとドキドキが止まらないのです。雑誌を立ち読みしているローさんを外から見つけて、ひえ〜と思わず小声が出た。エースくんのときと同じだけど、普通に、いる。でも、エースくんのときとは、ちょっと違う。
「お前も俺たちも、別に同じ人間だ。」
そう、ローさんが言っていたからだろうか。もちろん、佇むローさんはかっこよくてドキドキしているけれど、「本当に声をかけていいのだろうか」と、前と違って自分が卑下になっていない。
ただ、思わずほう、とただただ見つめてしまう。なんというか、かっこよくて。先程までとは違うため息が出つつ、彼をガラス越しに見つめていると、ふとローさんが顔を上げてパチリと目が合った。パタンと読んでいた雑誌を閉じて此方へ向かってくる。(ま、前髪大丈夫かな)

「声くらい掛けろ」
「む、夢中だったようなので」
「お前を待っているのに、夢中も何も無いだろ」

コツンと額を軽く指で叩かれる。う、と唸るとローさんが微かに笑った。けどそれを指摘するより前に「行くぞ」とローさんが歩き出してしまったので、急いでついて行く。

「どこ行くんですか」
「水族館」
「…へ」
「シロクマを見に行く」

意外な答えが帰ってきて、思わず返事も出ず、ただただローさんを見上げてしまった。すると、私が何も返事をしないでキョトンとしたことに気づいたのか、少しだけ頬を赤らめて「…好きなんだよ、悪いか」と小さな声で言うものだから、そんな一面があるのかと、キュンとしてしまった。








琴線に触れる









そんな素顔

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