信じるものよ
「…ん…」
見知らぬ天井。そうだ、私…。
「気がついたみたいね?」
「…え?」
声がしたほうを向くと、そこにいたのは、白衣を着たナイスバディな美女。
(唐之杜(からのもり)志恩(しおん)さん…)
「朱ちゃん、この子、起きたわよ」
志恩さんは、私を指差しながら、朱ちゃんに言った。
「あの…ここは…」
「医務室よ。公安局の」
「…公安局…。あっ、あのっ、犯人はっ…!?」
私の言葉に、朱ちゃんは微笑みながら答えた。
「あなたのお陰で、無事、逮捕することが出来たの。ありがとう」
「…よかった…」
私は、ほっ、と胸を撫で下ろした。
「ところであなた、住所は?」
「えっ?」
「家まで送っていくわ。見たところまだ学生みたいだし、夜遅くなったから、ご家族の方とか心配してるんじゃないかな、って思ったから」
…朱ちゃんの気遣いは嬉しい。でも……
「…どうしたの?」
「えっと…」
どうしよう。どうやって誤魔化そう…。
「あ、自己紹介がまだだったね。私は常守朱。公安局刑事課一係の監視官なの。あなたは?」
朱ちゃんはそう言って微笑んだ。
「え、私は…」
…朱ちゃんなら、信じてくれるかな…。
→続く
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