06

「シカマル…その格好……」


なまえは眉を下げてシカマルを見る。シカマルは、「あぁ…」と小さな声を漏らす。
シカマルの格好とは泥だらけで服はところどころ刃物で切られた痕がある。
あと、微かに“血の匂い”が……


「…痛い?」


俺の頬に出来ていたらしい小さな傷に触れてくるなまえ。


「お、おいっ!」


あんなに人に触れたがらなかったなまえの手が俺の頬に触れる。その手は、少し震えていた。


「大丈夫、シカマルなら…大丈夫なの」

「…痛くねぇよ、慣れてる」


“慣れてる”その言葉を口にした後シカマルは後悔した。自分を見上げるなまえの瞳はみるみるうちに潤んでいく。


「あんまり、頑張らないで……」

「……」


なまえは忍びを凄いと思っていた……実際は、そんなこと無い。
本当は、痛いし
本当は、苦しいんだ…
でも、“ヤメテ”なんて言ってはいけないと思った。


「…あぁ、ありがとうななまえ…帰るか。」


繋いだなまえの手は小さかった。
今はただ、初めて触れられたことがシカマルは無性に嬉しかった。



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