01 私を取り囲む道しるべ

「忍術も幻術も出来ないんだから忍びなんかなれねーよ!」

「なんで忍者学校(アカデミー)に通ってんだよ!」

本当、なんでなんだろう。そんな言葉を浴びさせられて私は何も言い返すことが出来ない。だって、ここは忍びの里で私の両親も忍びで、忍びになるのが忍びの道を歩むのが普通だと思っているから。
でも、本音は痛いのもしんどいのも嫌いだし。人を傷つけるのも嫌い。忍者なんて嫌い。



◇◇◇



今は座学の時間。座学の授業は比較的好き。しんどくも痛くもないから。周りの子達はイルカ先生の授業を殆ど聞いていないみたい。うずまき君はイタズラしに抜け出したし、奈良君も寝ている。秋道君は隠れてポテチをずっと食べている。
たぶん、真面目に授業を受けているのは優秀な春野さんそして、真面目な日向さんあと、私くらいじゃないかな?
そんな、好きな座学の授業は短い。終業のベルが鳴る。……次の、授業は演習場で縄抜けの実技だ。


「よし、ここまで。みんな、ベルが鳴る前に演習場に集合だぞー」

「「「はーい!」」」


今まで退屈そうにしていたみんなの顔が明るくなる。それに、反して暗くなる私。
演習は嫌い。体術とかだと痛いし、忍術だと上手くチャクラが練れなくてバカにされるから。
そんな苦手に反して、私のチャクラは人よりも量が多いらしい。それは生まれつきというか、一族特有のもの。でも、それは宝の持ち腐れっていうもので私はチャクラを練るのがとてつもなくヘタなのだ。私の中にあるチャクラを感じることはできる。それが身体をぐるぐる回っていて結局よく分からなくなってしまう。つまりは、術が発動しない。


「……」

「…もう少しチャクラの流れを意識してみるんだ…次!」


私の番は長い。イルカ先生は出来るまで待ってくれているみたいだけど、いい迷惑。出来ないものは出来ないしいっそのこと順番を飛ばしてくれてもいいのに。こんなみんな前で出来ないことをするなんて…格好悪い。



◇◇◇



やっと今日のアカデミーが終わった。クラスの子達は遊んだり修行したりアカデミー後は自由時間。私は呼ばれて川辺に来ていた。声の主を探していると先日の大雨で流木が上に乗っかって茎が折れている花があった。


「…はい、もう大丈夫」


ゴンっ!


「っ!」


背中に痛みを感じて振り返ると男の子2人。アカデミーですれ違ったことぐらいあるけど面識はない。というか、今の痛みは石か…。
振り返って足元を見れば川辺にある丸い石の中に一つだけ角ばった石。けっこう痛かったんだけど、


「やーい!!お前友達いないんだろ!」

「草に声掛けてんだぜ!!」

「うげー!気持ちわり―」


(……私、気持ちわるい、よね…)



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