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最初は興味本位ってだけだった。
髪色もそうだし、雰囲気が良いっていうか。可愛い子だなーみたいな。

まだ記憶に新しい部活動見学会。
一年が横一列に並んだ時のナマエちゃんと不破の良い意味での浮き様は、俺だけじゃなく他のメンツも視線を奪われてた。
バスケ部に入る予定だと言って手をあげた二人。
オレンジとブロンド。目立つ二人。
面白い一年、入ってくるみたいだ。友達とそう話して、楽しみにしていた。

入部が決まって一人ずつ自己紹介。

「1年2組、不破 豹」

不破の自己紹介に、先輩たちは鬼みたいに怖い顔してたけど。
俺は全然アリだと思った。確かに生意気そうだけど、そこまで怒ることでもない。

「ミョウジ ナマエです。よろしくお願いします」

不破とは対照的に礼儀正しく控えめに挨拶したのが、ブロンドのあの子。
へえ、ナマエちゃんっていうんだ。
その日のストレッチでナマエちゃんと偶然目が合って。手を振ったら気まずそうにしてた。
いや普通に可愛い。

夏祭りに誘った頃くらいにはもう、結構本気で気になってた。
手つないだ時の反応が可愛くて印象的。
できれば、付き合いたいなあ…と思うわけで。
不破と幼馴染らしく、いつでも仲の良い二人はちょっと妬ける。


「ナマエちゃん、冬苦手?」
「結婚苦手かもしれないです」
「体育館さむいよね」
「手とかカサカサで、ボール扱いにくいですよね」
「ああ、分かる分かる!」

黒のマフラーに顔をうずめて、手はブレザーのポッケに。
素足を晒して歩くナマエちゃんは、すごく寒そうに見える。

「久しぶりだね、一緒に帰るの」
「はい。久しぶりですね。」

まだ夕方だというのに、辺りは暗くなっている。
最後にナマエちゃんと帰った時は、全然暖かくて明るかった気がする。

「あっという間に12月になっちゃいましたね」
「ね、もう俺3年になるし」

ナマエちゃんは、ポッケから手を出して口元に当てた。
白い息を吹きかけて、こすり合わせる。

「わたしは2年生かあ」
「そだね」
「勉強難しいですか?」
「そんなことないと思うよ」

ナマエちゃんは、ついていけなくなったら助けてくださいと笑った。
俺は、あまり勉強得意じゃないけどそれで良いなら、と返した。

俺はナマエちゃんと、ずっとこのまま先輩と後輩という関係のまま、部活を引退して学校を卒業して終わってしまうんだろか。
俺が何か言えば聞いてくれるナマエちゃん。
上下関係に誠実で、真面目な彼女は今回だって、きっと何の疑いもなく「良いですよ」と言ってくれるだろう。

「ナマエちゃんさあ」
「はい」
「クリスマス、予定とかある?」
「んー…特にないです。夜に家族とご飯食べるくらいで」
「そっか。じゃあ、一緒に遊ぼう」
「あ、はい。良いですよー」

よし!

12.11.20