019 (2/23)
部活動見学、入学して間もない今日それは行われる
放課後の部活をクラスごとに見学しよう、といった感じである。
うちの学校は全入制。生徒全員がどっかしらの部に所属しなければならないため、部活動見学はそれぞれ希望する部に入るか入らないか決めるための結構大切な行事なんだと、担任が言っていた。
まあ、いざ入ったらイメージと違いました。なんてことになったら最悪だ。
いろいろな部活を見た。
陸上部、水泳部、弓道部、茶道部、美術部etc……。
文化部も楽そうで良いなと思ったけど、やっぱりバスケがやりたい。
豹と一緒にバスケがしたい。
長かった部活動見学も終盤にさしかかり、最後に残るはバスケ部。
体育館に向かう途中で、隣を歩く豹に話しかけられた。
「ナマエもバスケ部入るんだべ?」
「うん。そのつもり!」
「じゃあ俺と一緒だなっっ」
「はいみんな並んでねー、先輩たちに挨拶するよ」
体育館の中では男・女合同で練習するバスケット部員の先輩方。
コートの端に一列で私たち一年が並ぶと、向かい合うように部員たちが横並びになる。
「こんにちは、バスケットボール部です」
「「「こんにちはー」」」
笑顔で話すキャプテンらしい男子部員、他の部員たちはニコニコしていた。
見たところ男女一緒のメニュー、スリーメンなども混ざってやるみたいだ。
「……」
ふと一番右に並んでいる女子部員たちと目が合った。
ぺこり、一応会釈をする。目をそらされた。
「今のところバスケ部に入ろうって考えてる人、どれくらいいますか?」
キャプテンの質問に続々と手を挙げる中、私は豹に目配せをして控えめに手を挙げた。
豹は自信満々、といった感じで手を挙げていた。
「あのオレンジ…」
「いいの?あれ」
ひそひそ、空気が変わる。
他の新入生はもちろん全員黒髪で、ワックスでセットされてない地味な短髪。そんな中にいれば、当たり前に目立つ派手な豹に先輩たちの目が厳しくなった。
「そこの子…」
「……」
「そのブロンドの…」
「…あっ、私ですか?」
「うん。バスケ部入るの?」
「あ、はい…入りたいです」
「そっか。よろしくねー」
「はい、よろしくお願いします」
さっき私が会釈した人たちから話しかけてきて緊張する。
気のせいか口調は優しいものの、顔が笑ってなかったような。
そして、私の髪とスカート丈をジロジロ見ては三人で何か話してるようだった。目つけられちゃったかな…。
「「「ありがとうございましたー」」」
見学が終わり体育館を出ると、豹に肩を叩かれた。
「あいつら、オレンジオレンジうっせーの!」
「しー、そんなこと言ったら目つけられるよ」
「大丈夫だべ〜」
豹はいいな能天気で。
私なんか、あの先輩たちに目つけられちゃったっぽいよ。入る前からこんなんで大丈夫かな。