ジャーファルの仕置き
カシム「丁度今、仲間を集めている所だ。行く所がねえなら歓迎するぜ。いいだろ?アリババ」
アリババ「ああ、だがこれだけは言っておく。俺達は義賊だ。スラムの為に国軍と戦っている。盗賊気分で汚ねえ盗みはするな。
もしこの掟を破ったら、命で償ってもらう」
*
アリババ「なあカシム。お前どういうつもりだよ!あんな得体の知れない奴らを、どんどん引き込んで」
カシム「ひとつ戦争でもおっ始めるか」
アリババ「おい!」
カシム「冗談、冗談。だが、俺たちは戦い続けなきゃなんねえ」
子供達「アリババにいちゃん!」
女の子「今日も国軍やっつけた?」
男の子「にいちゃんのおかげで、俺達2回も飯が食えるようになったんだよ」
カシム「なあ相棒。俺達も子供の頃、スラムの地獄を一緒に生き抜いたよな。
頼む、この子供達を救ってくれ。マリアム達みたいにしないでくれ
もうどこにも行かないでくれアリババ!俺のそばで昔みたいに戦ってくれ!」
*
そして、夜。モルジアナがアリババをアラジンに会わせる為、攫った。
ジャーファル「バルバッドの経済は今、激しく混乱しています。その原因のひとつがこれです」
シンドバッド「煌帝国の発行する、ファン紙幣か」
ジャーファル「煌帝国は軍事力に物言わせて、近隣諸国まで、このファン紙幣を流通させようとしています。
バルバッド国王アブマドも、煌帝国の言いなりです。
調べた所、どうやら煌帝国の皇女と婚約しているらしく」
シンドバッド「何だと?あの野郎、何で俺に言わねんだよ」
ジャーファル「霧の団の問題もありますし、こちらも出方を考えて、本国に連絡を取った方がいいかもしれません」
シンドバッド「そうだな、俺、金属器ねえし。そういえば、アラジンは?」
ジャーファル「気落ちしてしまって、部屋で休んでいます。マギと言っても、普通の子供なんですね」
その時、勢いよく彼らの部屋の窓を割って、何者かが侵入した。
シンドバッド「誰だ!!」
「ごめん…窓、わっちゃった…」
ジャーファル「エナ!」
シンドバッド「何故ここが分かった!?」
エナ「あの時黒い霧に捕らえられてた、ファナリスの女の子が霧の団に来たのが見えて。
着いて行ったら会えるかもと思ったの」
マスルール「モルジアナすか」
エナ「で、お頭」
シンドバッド「俺か?」
エナ「あ、間違えた。シンドバッド様」
シンドバッド「おう」
エナ「報告があります」
シンドバッド「今話せ」
エナ「はい。2年前の城の宝物庫が破壊された事件ですが、主犯は霧の団の頭領カシム、その時アリババはスラムからバルバッド先王に引き取られ、王家で教育を受けていたようです」
シンドバッド「当時の怪傑アリババは、事件に加担はしていないと」
エナ「そうです。そして、その場でカシムら霧の団の襲撃をご覧になったバルバッド先王は寿命が早まり、翌日に亡くなられた、という訳です」
シンドバッド「なぜ、怪傑アリババは城で教育を受けていたんだ?」
エナ「バルバッド先王は正妻との間にアブマド王子、サブマド王子を、
更に下女であったアニスの間にアリババを授かっていたのです。
事件の3年前、後を継がせるのはアブマド王子ではなくアリババが良いというバルバッド先王の考えから、彼を引き取ったのですが、
スラム街出身を理由に断られ、彼を嫡子の補佐役として育てたとの事です」
ジャーファル「なるほど…」
シンドバッド「なんだ、今回はお前1人だけでも情報の収穫量がやたら多いな」
エナ「ううん、アルコと潜ってるよ。けど、アルコはアリババの指示で王宮への密偵も兼ねるようになったんだよ。
だからタイムリーな霧の団の動向は、私が様子を見てる」
マスルール「密偵の密偵すか」
ジャーファル「それにしてもこの情報量、多いですね」
シンドバッド「お前、体でも売ったか?」
ジャーファル「なっ…!!」
エナ「嫌だなぁ、そんな事はしないよ〜」
マスルール「良かったすねジャーファルさん」
エナ「ただ、変にカシムに気に入られちゃってね」
シンドバッド「変に?」
エナ「そう、変に。勘だけど、恋愛感情を向けられてるのかも」
ジャーファル「なっ…!!」
マスルール「勘違いじゃないすか」
エナ「さあ。でも…沢山話を聞かせてくれるし、何だかこんなネックレスまで貰っちゃって」
シンドバッド「はぁ!?」
エナ「これから裏切るのに、なんか申し訳ないね」
マスルール「恋で間違いないっすね」
ジャーファル「何もされてませんか!?」
エナ「服買ってもらったくらいかな」
ジャーファル「どこも触られてませんか?」
エナ「んまあ、肩と手くらいは」
ジャーファル「仕置きです」
エナ「え?でも、任務中だよ?」
シンドバッド「良いぞー、楽しんでこい」
エナ「何を!?」
マスルール「エナさん頑張って」
エナ「え!あああああ!担がないでジャーファルううう!」
28.3.26
嫉妬するジャーファルさん