番外編!コント?@烏野の野郎共!
西谷、田中、北来、縁下、木下、成田。
野郎共が2年になった春。
4月 クラス替えの季節____
「またこの季節がやってきましたど、縁下パイセン」
「___分かってるよ、田中」
廊下を横並びで歩く、烏野高校バレー部2年生。
その姿は、とても勇ましかった。
【歴代仮面ライダー大集合!】にも似た貫禄さえあった。
しかし、聞こえるひそひそ声は心地よいものではなかった。
「え、何?あいつら?怖っ」
「センター小っさ!」
「西谷のこと?アイツうちより小さいよ」
「バレー部の田中って、あのボーズの」
正直俺達は、【さっきまでバレーしてたらしい汗臭い男】にしか見えないだろう。
だがその後ろを___
【ガシャン ガシャン】
北来陽が歩けば、
「ああああああああああ!!!」
「陽くんが!」
「北来君が!」
「松葉杖?!」
「杖もカッコイイ!!!!」
「ワー!」「キャー!」
陽が歩けば大名行列のように道が開けるのである。
「_____この世の不条理その19。
陽がモテること」
「この世の不条理その107。
イケメンが使う松葉杖がなぜかカッコよくなること」
「しょうがないだろ。北来陽と歩くと、俺達の評価は
【さっきまでバレーしてたらしい汗臭い男】
から
【バレーと真摯に向き合うフレグランスな男】
になるんだから」
「理不尽だ・・・!!」
「まったくどいつもこいつも。陽はただ、ちょっと背が高くて、ちょっと千葉雄大に似てて、ちょっとホクロがあるだけだろーが」
「イイトコいっぱいあんじゃねーかチクショー」
「195もあって千葉雄大に似てて目元に可愛いホクロがあったらそりゃモテるわ」
「ホクロはどうせ自前だろ、自前」
「な!陽大変だな!毎日!」
「そんな陽には労いの油性ペンだコラ!」
「これでホクロ書けよコラ!」
「______ん?」
北来陽は大して気にならないようだ。女子の視線には慣れてるって感じか、はたまたホントに自覚してないのか。
それでも、廊下ではめちゃくちゃ北来君、北来君と名前を呼ばれる。
「え、待って!3組!北来君と同じクラスになれちゃったんだけど!」
「どうするー?LINEのアカとか交換しちゃう?」
「ねー!」
だけどさすがに男は、違う反応を見せる。
「北来ィィィ!あいつ羨ましいい!」
「男の敵・・・!」
「おお!なんか恨まれてるぞ陽!」
「え、なんか悪い事した?てか何でお前ら嬉しそうなの?」
「はん!陽の奴!俺の座を奪いやがって!
まあ別に全然悔しくなんかないもんね!」
「__青城の及川っぽい奴もいる」
及川っぽいやつにもやはり、目もくれない陽。これは無意識だ。てか、天然なんだ。
「はうっ!!」
「急にどうした!ノヤっさん!」
「女子からの羨望の眼差し!!!嬉しすぎる眩しすぎる!!!」
「目を開けろ西谷!!!」
「その羨望は全部後ろに向かってんだからな!」
「ぐっっ!!!」
「キツイのは俺もだ・・・ノヤっさん!」
「もうすぐだ、多分もうすぐだと思うから__」
「耐えろお前ら・・!!」
「北来のヤローまた調子乗ってんぞ」
「調子乗りすぎて今日は何だ、竹馬か?」
「いや、松葉杖か」
「どちらにしろ身長を盛っていることに変わりねーよ。見ろ、あれは【竹馬】だ」
「どんな調子の乗り方だコラ」
そうだそうだ、そうやってヤンキーでもなんでもいいから男子の反感を買わせて・・・この理不尽な環境をくつがえしてやる!!
「あ!そうだ!龍!」
「___え。何?」
「昨日お前が貸してくれたAV!さっき部室で返し忘れてたわ!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「あはは!良かったよなナース服!」
この世の不条理 その114
【天は二物を与えず】
「部室で渡せやコラァァァァァ!!!!!」
「女の子いっぱい見てんだぞオラァァァァァ!!!!」
「高身長!高スペック!好青年!3K揃ったお前が____モッタイナイ!!」
「ダメ!お前のそういうとこがダメ!」
「色々だいなし!」
「デリカシー皆無!」
「もう口閉じてろ!」
「木下まで何!ちょい!成田助けて!
あ、お前もグルか!何なんだお前ら!!」
「へぇーそんなことがあったんだ?」
「そうなんすよスガさん!」
「だからこんなショボくれてんの?」
「大丈夫っす陽先輩!影山もおんなじですよ!」
「え?俺何かしました?」
「白目ひとつで女の子を幻滅させるんです!」
「陽もまだ負けてないぞ!前にスパイク飛んでズボン脱げて、会場を悲鳴と歓声に包んだよな?」
「うわ!そんなこともあったな!」
「ホントに陽は破天荒なんだからな」
「俺試合中ズボン下りたら絶対帰る・・・」
「「ぷぷっ!!」」
「俺、なんか悪いことしました・・・?」
29.9.6
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