「じゃあシャワー浴びておいで?◆」
「…はい、そうします。汗でベトベトです」
「一緒に入「いってきまーす!!」…つれないなあ◆」
タオルを掴んで慌ててバスルームに駆け込む。
鍵をしっかりかけて…ふう、これでよし。
「ショッピングモール…お買い物かあ」
やっぱり女の子としてはうれしいし楽しみだ。
ヒソカさんはあのメイクのままなのだろうか?
シャワーをだしながらふと考える。
いつも起きるとヒソカさんの方が先に起きていて
すでにあのメイクなので素顔はみたことがない。
ショッピングモールに…ヒソカさん…
「…それはちょっと、ううん…」
想像してみるとすごく変だった。
「ボクも浴びたいんだけど◆」
「??!!!」
びっくりした!!!
ドアのすぐ向こうから声が聞こえる。
「入っていいかい?」
「ダメです!いやです!今出ます!すぐでます!!!」
慌ててシャワーを浴びて
タオルをつかんで乱暴に拭く。
「ボクは別に一緒でも構わないよ?◆」
「わたしは構います!いやです!遠慮します!!」
髪の毛はまだ濡れていたがとりあえず洗濯が終わっていたヒソカさんの白いTシャツを慌てて着る。
―ガチャ
「おや、もう着ちゃったのか残念◆」
「………わたし、鍵かけましたよね…?」
「ん?ボクは奇術師だよ?◆」
「答えになってません!」
鍵をちゃんとかけたはずなのにもかかわらず
ドアがいとも簡単にあいてしまう。
急いで服着てよかった…!
「…!!?」
「そんなに見つめられると恥ずかしいよ◆」
―バタンっ!!
「…っ、も…なんで、脱いでる…の!」
いつの間にかヒソカさんは半裸で。
そりゃあシャワー浴びるんだから当たり前だけど…!
ほんとヒソカさんといると心臓がもたない…
まだ濡れたままだった髪の毛を丁寧にふく。
拭きながらなんとなく思い出してしまう。
「けっこう筋肉ついてたなぁ…」
「惚れたかい?◆」
「!!!??」
またいきなりだった。
シャワー早くないですか?!
ていうかなんで目の前にいるの?!
いろいろ展開がはやすぎてついていけない。
「あれ図星?◆」
「っちが…!」
―バシッ!!
「…あ」
「…ゆあ?」
今度はなぜかストレートにパンチが決まる。
腕をつかまれる。…あ、やばい。
ニッコリ怪しく笑うヒソカさん。
…怖い…怖い…殺されっ…!?
ぎゅっと目をつぶる。
―ちゅ
「っ、う…?!!」
「これでおあいこ◆」
暖かい感触をおでこに感じて目を開ける。
ちゅ、って?!ちゅ、ってぇえええ??!
「なにし…て………!誰ですか…?!」
「ひどいなあ◆」
怒ろうと思ってみるとそこにはヒソカさんのドアップ、
だったんだけど…だけど、だけど!
そこにいたのは確かにヒソカさんだけど
いつものピエロメイクではなかった。
「(なにこのかっこいい人!わたしの知ってるヒソカさんじゃないです!!)」
シャワーを浴びたあとだから当たり前で
ヒソカさんはすっぴん、だった。
「ん?ああそういえばみせるの初めてだったね◆」
「………ヒソカさん、です…よね?」
「それ何気にひどいよゆあ?◆」
「だって別人です。びっくりです。」
「…いくらボクでも傷つくなあ◆」
「…そっちの方がいい…」
「ん?」
「なっ、なんでもないです…!」
「◆」
急にニヤニヤしだすヒソカさん。
失言した?!なんか恥ずかしいこといった気がする!
う…ニヤニヤしてるのにイケメン補正が…
なぜかそのまま近づいてくる…近い近い近い!!
「ん?どうしたのゆあ?◆」
「う…あの、なんで、近づくんですか?」
「ん?そうだね…シャンプーのいい匂いがするから◆」
「明らかにいま考えましたよね?!」
「そんなことないよ」
じりじり迫ってくる。
その分ヒソカさんから離れようとする。
ソファーはそんなに広くない。
まだ腕も掴まれたまま。に、逃げれない…
あっという間に端っこに追いやられた。
この状況は一体なんなの?!
「ゆあ◆」
「っ…」
「(顔、真っ赤可愛い◆)」
もう目の前にはヒソカさんが迫っている。
なにかされる…っ?!
―クシャ
「え」
「濡れたままだと風邪ひくよ」
「…あ、」
髪の毛を撫でられただけだった。
緊張が一気に抜けてちょっと泣きそう…
よかった…と胸をなでおろす。
「なにかされると思った?」
「おおお、思ってません!」
「ふうん?◆」
意味深にニヤッと笑うと
ヒソカさんが離れていく。
…そうだよね、わたしみたいな子供に
変なことするわけないよね。
いくらヒソカさんが変態だとしても
さすがにそこまではいってないよね…はあ。
一人で勘違いして
あそこまで緊張していたのかと思うと
かなり恥ずかしい…忘れよう…
タオルをかぶってわしわしと髪の毛を拭く。
まだ出かける前だと言うのに
すでにいろいろありすぎて…
精神的にも体力的にもつかれた…
まだヒソカさんとも2週間しか一緒にいないのに
こんなんでこの先やっていけるのでしょうか…
「前途多難…」
先が思いやられすぎてため息が止まらなかった。
「(…危ない危ない)」
「(ちょっと本気になっちゃうとこだった◆)」
ため息をついているゆあを横目で盗みみる。
どうみてもただの子供で、
ふつうの女の子で特別美人でもないし、
飛び抜けて可愛いわけでもない。
「(なのにみてると飽きないし反応は可愛いし)」
「(イジメがいがあるからかな?◆)」
ついついかまってしまいたくなる
加虐心をそそられるというか…
まだ二週間しか一緒にいないのに不思議だった。
「(飽きたらすぐに殺しちゃおうと思ってたけど…)」
「(思ってた以上に楽しめそう…◆)」
これからのことを考えて笑う。
「(ああ、どういう風に育てようかなあ…◆)」
「(ぞくぅ…)」
「クックックッ…◆」
「(うわあ…、がんばれる気がしないです…)」