青い空!白い雲!
眩しい太陽!吹き抜ける風!
この世界の風景も
わたしがいた世界の風景も
そんなに違いがなくて安心する。
「ゆあ…いつまでそこにいるの?◆」
「はっ、す…すみません…」
何日かぶりの外が嬉しくてホテルの入口で空を見上げたまま感傷に浸っていた。
外はあまり治安がよくない。とのことで念をちゃんと使えるまでは外に一人で出ちゃだめ。と言われている。
朝、走り込みで外には出るが
ちゃんと街を歩くのは初めてに等しい。
少し先を歩いていたヒソカさんのもとに慌てて駆け寄る。…うんすっぴんイケメン。
「ん?なにかついてるかい?」
「いえ、大丈夫です…」
じーっとみていたらヒソカさんと
バチッと目があった。慌てて目をそらす。
うーん…ほんとにすっぴんは別人…
いつもはアップにしてる髪の毛も
おろしているし…いつもこっちのがいいなあ。
「ほら、あんまりぼーっとしてると迷子になるよ?◆」
「はい」
「手繋ぐかい?◆」
「…それはいいです!」
ニコッと笑って手を差し出してくる。
イケメンの笑顔!+手繋ぎとかああああ
わたし可愛くないしモテたこともない。
こんな状況に耐性ないんですけどっ
…きっとわたしすぐに死ぬんじゃないのかな
これが最後のモテ期とかなんだよ…
最後に神様がいいものをみせてくれたんだよ…
「(変なこと考えてるね…)」
「うう、神様ありがとうございます…」
「ほら行くよ◆」
「うう…はい…」
大人しくヒソカさんについていく。
「うわあ…広いですね…」
10分ほど歩いたところにあったショッピングモール。入口を入ってすぐにエスカレーターがあり吹き抜けになっていて天井は高い。ワンフロアごとにたくさんのお店があって人もたくさんいてすごく賑わっている。
レディースもあるし、メンズもある。雑貨屋さんにアクセサリー、靴屋、帽子屋、家具屋もうなんでもありだ。
「いろいろありますね…!」
「時間はたくさんあるし、ゆあの好きにみていいよ◆」
「うわあ…迷っちゃいます…」
「こういう所は初めて?」
「そうですね…わたしの住んでる街にはなかったですね。」
わたしの住んでる街はまあ普通だった。
新幹線だって通ってるけどそこまで人がたくさん住んでるわけでもなかった。テーマパークとかも特にないし、普通だった。それでもわたしには十分広くみえたけど。
「じゃあまずは服みようか」
「はい!」
「うーん…これ可愛い…あ、でもこっちも!」
「やっぱりワンピース楽でいいからなあ」
「黒…いやピンク…あっ水色も可愛い!」
何件かみてまわったなかで
好みの雰囲気のお店でいま悩み中です。
やっぱりワンピースが一枚で着れて楽だしどうしても同じような服にばっかり目がいってしまう。
「これなんかどうだい?◆」
「………却下です!」
「可愛いのに…◆」
ヒソカさんが持ってきたのはすごいミニ丈のワンピース。しかも背中に大きくスリットが入っていて思いっきり露出が…うん、却下!!
「そういうのはもっと…こう、綺麗なお姉さんに着てもらってください!」
「…こういうのを着て恥ずかしがるゆあがみたいのに◆」
「考え方がおっさんです!変態ですっ!」
大体15歳の少女になんてことをさせる気なんだ!
まだ諦めてないのかヒソカさんは
さっきのワンピースを持ったままだ。
「ほらヒソカさん、それじゃなくて…これ、どの色がいいですかね?」
「うん?…んー黒かな◆」
「ふむ、じゃあ黒にします!」
「ゆあの髪の毛綺麗な黒だし、肌も白いからきっと似合うよ◆」
「…ありがとう、ございます」
褒められてなんかちょっと照れる。
やっぱり日本人としては
黒髪を褒められるのは嬉しいよね。
お手入れもちゃんとしてるし
大和撫子…とまではいかなくても
サラサラヘアーは女の子の嗜みですから!
とりあえずヒソカさんに言われた通り
黒色のをとる。んーでもピンクも可愛いな…
「じゃあこれにします!」
「ん?一着でいいのかい?◆」
「え?はい?」
「1着じゃ少ないからあと10着ぐらいは欲しいだろ?」
「…まあ、そうですけど」
「遠慮はしなくていいよ◆」
「んー…いいんですか?」
「これ着てくれたらね◆」
さっきのワンピースを渡してくる。
まだ諦めてなかったんですか、それ…
「着ません!だからこれだけでいいです!」
「…冗談なのに◆」
冗談ではなくてほんとに着せてきそう…
ヒソカさんならやりそうな気がする…
と思っていたのが伝わったのか
ヒソカさんは持っていたワンピースを戻した。
「ほら、これはいいから選んでおいで◆」
「……じゃあ、えっと遠慮なく」