くろあか | ナノ

 四話 毎日



わたしは普通の女の子で
学校に行って友達と放課後遊んだり
テストが嫌でしょうがなかったり
夏休みが待ち遠しかったり

本当に、本当に、普通の女の子なの!




ゆあです。おはようございます。

いまはたぶん朝の9時ぐらいです。
今日でこの世界も二週間が経ちました。

毎日文字の勉強と念の修行を頑張ってます。

「ゆあ◆まだ30分もやってないよ◆」
「ぜぇ…っぜぇ…も、無理です…っ」

なぜこんなに息も切れ切れかというと
朝6時に起きてから3時間の走り込み。
のあと朝ごはんを軽くとってすぐに念の修行。

というハードスケジュールだからです…

念というのを使いこなすには体力が
どうしても必要らしいので筋トレに励んでます。

水泳を習っていたから少しは体力と肺活量に
自身があったんですが…まだまだでした…

「ほら、はやく続けて◆」
「っ…ヒソカさんの、おにぃっ…!」
「涙目で罵られてもボクにはご褒美なんだけどな◆」

はい、気持ち悪いです。

最初変な人だなーと思ってましたが
訂正します。ヒソカさんはただの変態でした。

年下にこれとかどうなのかな…
ロリコ…いや、あんまり考えないようにしよう…

「ほら、あんまり休んでばっかりだとお仕置き追加するよ◆」
「!!が、んばり…っます!」

にやり、とヒソカさんが笑ったので
慌てて立ち上がる。ちょっとくらっとするが
近くのテーブルに手をついてなんとか持ちこたえる。

ちょっと残念そうになるヒソカさん。
無視しとこう。うん。

いまなにをしているのかというと
「念」という超能力みたいなものの
いわゆる修行というやつだった。

どうやらわたしは知らないうちに
この念というのを使っていたらしいので
自分で好きなようには使えない。

ということでとりあえず基礎から始めている。

「じゃあまた纏から」
「…はい」

息を吐いて集中する。

「(安定してるね◆)ん、次は練◆」
「…っはい」

ぎゅっ、と力を入れる。

「(うん、結構な量だ◆)」
「ぬぬぬ…」

これが結構苦手で気を抜くとダメ。

「うん、じゃあ絶◆」
「ふぅうう…」

さっき入れていた力を抜いていく。
イメージは座禅してるときのお坊さん。

「(悪くない…むしろ二週間でこれならすごい◆)」
「………」
「うん、いいね◆」
「はぁあ…念って疲れます…」

絶を続けたままヒソカさんをみる。

朝ごはんを食べてからずっと修行している。
わたしが体力がないというのもあるけど…

念っていうのは思っていた以上に体力を使う。

「かなり素質あるよゆあは◆」
「…そういわれましても…」

こっちの基準がわからないので
なんというか褒められているのでしょうか…

「うん。ボクがいうんだから間違いないよ◆」
「う…それが一番…なんというか…」

とりあえず信用ならないわけで。
ヒソカさんはなにを考えているのか
ほんとうにわからない。なぞです。

「そんなことばっかり言ってるとお仕置き追加しちゃうよ?」
「なにも言ってませんけどっ!?」
「顔にでてるよ◆」
「う…」

おでこをべちっとデコピンされる。
…絶状態だったから痛い。

「うーんそうだなぁ」
「次はどうしますか?」

ヒリヒリするおでこをさする。

女の子の顔…おでこだけど
に、なんてことをするんだろうか!

「よし、じゃあでかけようか◆」
「…はい?」
「ゆあ服ないだろ?◆」
「あ、そうですね…これもヒソカさんのですし…」

いま着てる服は黒のTシャツ。
ヒソカさんの服なので
サイズは合う訳もなくブカブカだ。

わたしが着ていたワンピースは
血塗れだったらしく捨てられていた。

いきなり知らない世界にきたわけだし
旅行でもなんでもない。
服なんてないし、お金も家も…

と考えて泣きたくなってきたのでやめた。

いまいるのもヒソカさんが仮住まい(らしい)で使っているホテルだしごはんはホテルにあるレストランかルームサービスで済ませている。

もちろん全てヒソカさんのお金。

「(ほんと、申し訳ないです…)」

いつか返せるようになったらヒソカさんに全額かえせるか不安になる。部屋はスイートルームだし。そうなるまでにちゃんと生きていられるのかも心配だ。

いまはこうやっていろいろと教えてくれたりしているが、それだっていつヒソカさんの気が変わって殺されるかもわからない。1人になったとして生き抜いていけるかもわからない。

「勉強の方はどうかな?◆」
「だいぶ読めるようにはなりました。」

念の修行と一緒に文字の方も勉強してる。ここでは世界共通語でハンター文字というのが使われていてわたしの世界にはもちろんなかった言葉なので一切読めない。なんとなく英語とか日本語ににているような気はするんだけど…

ヒソカさんに買ってもらった辞書や
テレビをみて聞きながら勉強している。

もっとわたしが頭のいい子だったらよかったのに…
はあ、とため息をつく。

「そう◆がんばって」
「…はい、がんばります…」

頭を撫でられた。

…完璧に子供扱いされてる。
確かにわたし15歳だし
ヒソカさんの方が年上だしね?

いや、撫でられて嬉しいとか思ってないですよ?!

「(さっきから百面相、可愛い◆)」
「あ、でかけるってどこ行くんですか?」
「んーそうだね…確か近くにショッピングモールがあったからそこでいいんじゃないかな?◆」
「ショッピングモール…」
「ゆあの服も買わないと行けないしね」
「買ってもらえるんですか…?」
「うん◆さすがに服もないとゆあもいやだろ?」
「…でもやっぱりお金…う、いやわたし持ってないですけど…」
「体で払ってもいいんだよ◆」

―バッ!!  パシッ

「…っ!?う、あ…」
「そんなに簡単に殴られはしないよ◆」

不穏な言葉に思わず手が出てしまうが
軽くヒソカさんに掴まれてしまう。

…なんか悔しいです。

そりゃあヒソカさんは戦い慣れてて
わたしみたいな一般人がそう簡単に
ヒソカさんに一発いれられるとも思ってないけど…

反射的に手がでてしまったのだからしょうがない。

「(いつか殴る…あ、あとお金も返す…)」

とりあえずいまなにをしても返り討ちにあって簡単に殺されかけないので大人しくしておこう。そう心の中で誓った。


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