くろあか | ナノ

 三話 疲労



というわけで、外はもうすぐ夕暮れ。
夕日が沈みかけて薄暗くなっている。

「…も、無理…ぜぇ…です…っ」
「んーゆあ体力なさすぎ◆」
「っこ、れ…はあ…でもっ…水泳して…まし、たっ」
「筋トレもしなきゃだね◆」

念というのを使うのは疲れる…!
ちょっと練を続けただけでぐったり。

床に座り込んでしまう。足がガクガクしてる…!

水泳で400mとか平気で泳げるぐらいには
わたし体力あるはずなんだけど…っ?!

生命力であるオーラを使っているので
当たり前なのかもしれない…

「しょうがないか◆」
「っはあ…わた、しっ…普通のぜえ、女の子っ…ですか、ら」
「動ける?」
「っ…ん」

足に力をいれてみるが動かない。

「無理…っそう、です…」
「ん◆」

―ひょい 「っわあ?!」

「…ゆあ軽いね◆ご飯食べてる?」
「お、おおおおろしてっ下さいいい」

いきなりヒソカさんに抱き上げられた。
ええええええ、なにこの状況ううううう?!

目の前にはニヤニヤ笑ったヒソカさんの顔。

近い…近いです…!恥ずかしいっ…!
なんとか抜け出そうとするが
体に力が入らないのでどうしようもなかった。

「動けないんだろう?◆」
「っ…そうですけど!」
「とりあえず…シャワー浴びるかい?」
「あ、はい」

そのままバスルームに連れていかれる。

うわあ…下みたら意外と高かった。
ヒソカさん背、高いもんなあ…

脱衣所におろされる。
汗で服がはりついて気持ち悪かった。

「…………あの?」
「ん?◆」
「ん?じゃなくって!!シャワー浴びるので、あの…出て行ってください」
「え?」

なんでそこで不思議そうな顔するの?!

「動けないだろ?◆」
「あ…そう、ですけど!!」
「手伝ってあげる◆」
「?!いいいい、いいです!気持ちだけで!!結構です!」
「そうかい?」

なんでちょっと残念そうなのっ?!
しぶしぶ、といった感じででていくヒソカさん。

………変な人だ。

立ち上がれそうにもないのでしゃがんだまま
引きずるようにしてなんとかした。

「…はあ、あした絶対筋肉痛だ…」

時間はかかったがシャワーを浴びれた。
疲労で眠気が襲ってくる。

とりあえずタオルで髪をごしごしふいて
すぐそばにおいてあったバスローブを着る。

着ていた服を洗濯機にいれてスイッチを押す。

「…っよし」

なんとかつかみ立ちする。
足は棒のように動きが鈍いが
なんとか歩けないこともない。

ゆっくりバスルームからでる。

きょろきょろ辺りを見渡すと
ヒソカさんはソファーに座っていた。

「ヒソカさん」
「ん、ちゃんと浴びれたんだね◆」
「はい、なんとか」

ソファーまでなんとか近づくと
崩れるように座った。はー疲れたー。

「ちょっといまから仕事に行ってくるから◆」
「お仕事…ですか?」
「そ、殺し◆」
「……そう、ですか」

さらっ、と当たり前のように言われて言葉に詰まる。

「ご飯食べれるようならルームサービス頼んでいいから◆」
「はい」
「先に寝てて。たぶん遅くなる◆」
「はい」
「明日も朝から修行するからね◆」
「はい」

よしよし、と頭をまた撫でられる。
お金を机の上においてヒソカさんは立ち上がった。

「いってらっしゃい」
「…ん◆」
「…こんなこと言うの、あれかもしれませんけど…」
「?なにかな」
「あの…その、気をつけてください…」
「!うん、いってくる◆」

一瞬びっくりしたようなヒソカさん。
やっぱり変なこと言っちゃったかな…

たぶん余計なお世話だよね。
後ろ姿を見送ってからソファーに深く座る。

ごはん…その前に髪の毛乾かさなきゃ…
と考えたが疲労とともに襲ってくる睡魔。

そのまま睡魔に身を任せて眠りにおちた。







「バイバイ◆」

―ザシュッ!

「…なにヒソカ。今日気持ち悪い。あ、いつもか」
「◆相変わらずひどいねキミ◆」
「ずっとニヤニヤしてるよ」
「ああ◆ちょっとね◆」
「ふうん」
「興味なさそうだね◆」

こっちにはまるで見向きもせずに
目の前の人を殺していくイルミ。

「いってらっしゃい、っていい言葉だよね◆」
「………」
「初めて言われたんじゃないかなー◆」
「例の拾い物か」
「ん?そうゆあね◆」
「………ふうん」
「あ、イルミに会わせてあげるって言ったけどやっぱりやめようかなー◆」
「興味ない」
「そう◆」

「(ヒソカがねえ…珍しい)」
「だから早く終わらせて帰るよボクは◆」
「勝手にどうぞ」

そのままヒソカの姿が暗闇に消える。

遠くからはヒソカにやられたであろう
ターゲットたちの叫び声が聞こえる。

「…ゆあ、ね。」

イルミのつぶやきは誰にも届くことなく
闇に溶けて消えていってしまった。



prev≪ | ≫next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -