招かれざるお客様




「…ところで、きでんはなんというななのでござりますか?」


「あっ、まだ名乗ってなかったよね。私は鏑木もかといいまーす。どうぞよろしく」


「…うじがあるのか?おんななのに?」


「?…うじ?」



左手は梵天丸君、右手は弁丸君と繋いで、私の家へと向かう道中。そんな会話を聞く前方の二人は浮かない顔。


うじ、って何だろう。久利夢君なら知ってるかな。帰ったら聞いてみようかな。


そうして家に帰り、急かされながら鍵を開ける。秋の風は薄手の着物姿の子供達には寒かったようで、弁丸君と梵天丸君は我先にとばかりに入っていった。草履履いたまま。



「あっコラ!!草履脱ぎなさーい!」



そんな二人を追って私も家にあがり、リビングに入った。



「捕まえた!全くもう、家の中では草履は脱いでね?」


「…なんでおれらはだめなんだよ。あいつらははいてるじゃんか」


「…あいつら?」



その言葉が引っ掛かって、顔をあげる。ソファの向こう側で銀色と茶色の何かがビクッと跳ねた。



「…誰かいるの?」


「……い、いません…」


「バカ者、声を出すでないわ!気付かれてしまったではないかこのひめわこが!」


「ふえっ…だ、だってさしょうじゅ…」


「もうよいわ、気付かれているのなら、かくれる意味もない」



そんなひと悶着の後、茶色の何かがスクッと立って一人の少年が現れた。
子供らしからぬ鋭い瞳は、氷のような印象を抱かせる。


もう一つの銀色もおずおずと立ち上がった。左目に眼帯をした少女…いや、女の子顔負けの可愛らしさだけど、男の子だ。
どちらも弁丸君や梵天丸君、宗兵衛君と同じように着物を着ていた。


…いつ、どこから入ってきたんだろう。




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