ツンツン少年と泣き虫姫




「…君達、どこから入ってきたの?お名前は?」


「…ぼ、ぼくは弥三郎、です…」


「…名を聞く前にまずきさまが名のらぬか。そしてひめわこ、初対面の相手にていねいに名のりおるとはすくいようのないばかよな」


「う、ふぇぇ…」


「…」



なんて扱いにくそうな子達なんだ…とくに茶髪の子。っていうか身長的に弥三郎君?の方が年上なんだよね?


茶髪の子は、まるで白雪姫やアリスに出てくる妃や女王様みたいな印象。弥三郎君は差し詰め白兎や召し使いってとこかな。力の関係的に。



「…えー、と、私は鏑木もか、といいます。ほら、名乗ったよ。君は?」


「…松寿丸」


「しょーじゅまる君ね。よろしく」


「……きさまとなれ合うつもりはない」


「…あ、そう…」



ホントに扱いにくいなぁこの子…ツンツンしてるし言葉の端々が刺々しいし。この子と一緒にいた弥三郎君の苦労が忍ばれるよ、うん。


…いや、まてまて私。話が綺麗に逸れてるぞ。



「ちょーっと話を元に戻すけど、君達は…」


「何してんのもか………って、その子達は?もかの隠し子?なんつって」


「真顔で冗談言うの止めてくれよ久利夢君やい。何か知らないけどいつの間にか入ってきたみたいでさ…弥三郎君としょーじゅまる君だって」


「……うわ」



久利夢君は左手を額に当てヤレヤレと言わんばかりにため息をついた。名前に反応した辺り、聞き覚えがあったらしい。


まあ5人とも着物だし、少なからず関係性は感じていたけどね。



「…もか、話するからソファ座って。その子らも一緒に」


「ここ私んちだけど…まぁいっか。梵天丸君は私の右、弥三郎君はあっちのお兄ちゃんの隣、弁丸君は私の膝の上にどーぞ。しょーじゅまる君はどこ座る?私から言われるの嫌そうだし、自分で決めてね」


「…フン。上手く言いくるめよって…空いている場所など、一つしかないではないか。それと、しょーじゅまるではない、松寿丸ぞ」


「はーい、わかりました松寿丸様ー」


「ふざけておるのかきさま…」



そうして私の右に梵天丸君、左に松寿丸君、膝上に弁丸君を抱えた私は、宗兵衛君と弥三郎君に挟まれて座っている久利夢君に顔を向けた。




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