信号機色の迷子たち
仕事が終わって、帰り道。 家の方向が同じな久利夢君と他愛ない話をしながら、夕焼けこ焼けの町をのんびり歩く。
通りがかったおばさんに微笑ましい目で見られた。きっと兄妹だと思ってるね。うん!私挫けない。
「……ん?ねぇもか」
「何?……ありゃ、迷子かな」
久利夢君が見る先には男の子が三人、うろうろしていた。
三人とも近代じゃ珍しい着物を来ていて、それぞれ赤、青、黄色だ。赤の子は5、6歳、青の子は7、8歳、黄色の子は中学生くらいだろうか。
一番年長の黄色の子が泣きじゃくる赤の子を慰めながら、きょろきょろと不安そうに辺りを見回している。お兄ちゃんなのかな…でも似てない。
「お母さん捜してるのかな?おーいそこのしょうねーん!」
「おいもか?…あーあー、行動はやいなー」
のんびり歩いてくる久利夢君を尻目に、走ってきた私はいち早く三人の元にたどり着いた。
赤の子は大袈裟に肩を跳ねさせ、青の子は少し身動ぎし、黄色の子はちょっと驚いた素振りを見せる。黄色の子は近付いてみたら私とそんなに変わらない身長だった。…ちょっと悔しい。
「君たち、迷子だよね。おかあさん捜してるの?」
「…あ、えっとうーん…迷子…なのかな?」
「え?」
黄色の子は頭を掻きながら、困ったような顔をした。自分が迷子なのかわかってないのかな?
「…うっ…えぐっ…ちちうえぇ…」
「…………」
「ああああ、そんな泣くなよ、な?…えっと、そうだな。おねーさんここがどこかわかるかな?」
「?K谷中央商店街から北にある住宅地だよ」
「…え?…っと、それどこの国?」
「…国って君…決まってるじゃない、日本だよ、日本」
「因みにニッポン、古い言い方だと日ノ本、倭とも言ったりー」
「あ、やっと来たか久利夢君」
「…古い言い方?」
黄色君はピクリ、と反応し、同時に顔面蒼白になった。青君と赤君は古い、に反応はしたけれど、なんだかさっぱりといった感じだ。
「…っ、まさか、いや、冗談だよな…?」
「……?ねぇ君、お兄ちゃん何言ってるかわかる?」
「…わ、わからないでござる…それに、このかたはそれがしのあにではござらぬ…」
「え?じゃあなんで…あっ、よく遊んでもらってるお兄ちゃんとか?」
「しょたいめんにござる…」
「ええ…?」
ますますわかんなくなってきちゃった…?
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