ひきとりましょう何人でも

トリップ。


よく漫画で見るやつだ。全く別の世界、別の時代に行ってしまう話。ドラ○もんもある意味そんな感じかもしれない。


タイムと言っている事やあの子達の時代錯誤からも、別の時代から来たパターンなんだろう。


でも、現実にそんなことあり得るの?



「…ま、信じるも信じないももか次第。だけどさ、これ以外に当てはまるモンがないんだよ、わかる?」


「…まあ…確かに辻褄はあうとは思うけど…でも何で?タイムトリップってそんな簡単に起きるものなの!?」


「起こんないでしょ、普通は。そんなんあったらきっと歴史は滅茶苦茶になってるだろうし。…それに、問題はこれだけじゃないかもしれない」



また久利夢君は真剣な面持ちに戻る。



「松寿丸が毛利元就、弥三郎が長曽我部元親ってのはさっき言ったろ?」


「…?うん」


「この二人は確かに領土は近いけど、歴史上二人が対面した記録はない。それどころか、元就は元親より一世代…下手したら二世代上のやつだ。数にして40歳…あんなに歳が近いわけがない」



その言葉に、唖然とする。
振り替えって見た子供たちは、未だケータイに興味を示しこっちの会話は聞いていない。


最初に聞いた会話は昔からの仲、といった風だったし、見た目だってどう見ても同年代で、40歳の年の差は感じられない。


………なら、久利夢君の話とは矛盾してるんじゃないか?



「ここから考えるに…たぶんこいつらは"この世界の武将"じゃなくて、"異世界の武将"なんだ」


「異世界の…?」


「そ、異世界。パラレルワールドみたいなもんだよ」



パラレルワールドの、戦国武将。
それが本当なら、きっとただのタイムトリップよりももっとずっと厄介なんだろう。


巻き込まれたのは私が三人に声をかけたから?でも松寿丸君と弥三郎君が私の家にいた時点で、巻き込まれるのは必須だったんだろうな。


とにかく、私の知らないところで大変な事になっていて、それに知らず知らずの内に巻き込まれたみたいだ。



(…でも、私よりあの子達の方がよっぽど大変で不安なんだろうなぁ…)
「…………よしっ!!」


『??』


「うおっ、どうしたの急に」


「久利夢君、私この子達養うよ」


「…は?何で?もかがこんな事する理由…」


「あるよ。宗兵衛君達に声をかけたのは私だし、松寿丸君達がいたのは私の家。きっと何か意味があるんだ。…それにね、久利夢君。











私、助けてあげたいの。この子達を」



きっともうわかってるのであろう宗兵衛君を見ればわかる。この子達がこの事をしればどんなに不安になるかくらいは。


何も知らない、頼りのいない世界に放り出しちゃいけない。関わった以上、私がこの子達の頼りになりたい。


そう強く思ったんだ。



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