■ 黒光虫殲滅戦線 1
※今回は佐和目線
「…やれやれ、いくらごきかぶりが苦手とはいえ、こうしてドアの隙間という隙間を打ち付けるだけというのはどうかと思うがね、佐和」
「だって瞬ちゃんでも対処できないし、またひっぺがすの怖かったし…」
皆もごきちゃんまみれの部屋には近付きたくないだろうしさ…うん、言い訳なのはわかってるよ。
でも、前見た時の恐怖は心の中に植え付けられてるのです。
「にしても、武将殿達もごきかぶりを避けるとは意外だな。てっきり飛ぶ蠅を捕まえるかの如くごきかぶりも箸で掴んでしまうのかと」
「パピー、武将のイメージ間違ってない?」
食事中に現れたGを箸で掴むなら、その箸で飯食べちゃうの? うわ、自分で想像しといてなんだけどドン引きするわ。
「…俺様だって引くよ、そんなの」
「ナチュラルに心読んだね佐助…ってか、手伝ってくれるの?虫苦手なのに」
「ま、何ていうか、まつな…佐和ちゃんのお父さんに任せっぱなしってのは自尊心がね…」
「だよなー…」
「我はやらぬ。やらぬぞ」
「prideねーのかよ毛利!」
「ごきかぶりとか我無理絶対無理」
「よし、もう放っておこう」
「じゃあ手伝ってくれる人ーこのマスクとバンダナと手袋つけなー。気休めだけどね」
就にぃ以外の面子はおずおずとそれをとり装着する。私も装着して、パピーの隣に立った。
「そう言えばさ、前はマミーがG処理係だったよね」
「……ああ、そうだったな」
「蠅叩きでGを掬い上げてから「森へお還りなさい(はぁと)」で窓の外にかっ飛ばした時の勇姿は中々忘れられないね」
「何それかっこいい」
「随分と肝の据わった母上でござるな…」
「…いつまでも談笑していないで、そろそろ入るとしようか」
「んじゃ、就にぃは自分の部屋に帰った方がいいよ、扉開けたらここ(廊下)も戦場にな」
バッタン!
『……』
「…突撃ー!」
こうして、遂にごき部屋の禁断の扉が開かれたのである。
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