西暦2205年――
時の政府は過去へ干渉し歴史改変を目論む歴史修正主義者に対抗すべく、審神者と刀剣男士を各時代へと送り込み、戦いを繰り広げている真っ最中だ。

「…ふぅー…」

時の政府内部、煙管を吸い真っ白い煙を吹き出しながら机に足を乗せ、椅子にふんぞり返って座っている人、一人。
お偉い方々のような立派な部屋に一匹の狐がするりと扉を開けて入り込んできた

「和葉様!!大変ですぞ、和葉様!」
「………どうしたんだい、こんちゃん」

慌てふためく様子から和葉は表情を歪め、煙管を灰皿に落とした。
こんちゃんと呼ばれた狐は机に飛び乗り事情を説明しようと口を開いたら乱暴に扉が開けられた。
その訪問者を横目で見遣れば、呆れた表情をする。

「おいおい、礼儀がなってないんじゃないかい?乱暴に扉開けるもんじゃないだろ。」

よっこいせと椅子から起き上がり、ググッと背伸びをすればパキパキと骨が鳴る。
顔色を変えず淡々と訪問者はしゃべり始めた。

「小鳥遊和葉。今日をもって、お目付け役を解き過去へ永久追放とする。」
「………は?」

ドスの効いた低い声が彼女から発せられ、こんのすけは震え上がった。
それでも彼らは何一つ表情を変えず、和葉は気持ち悪い奴らだと舌打ちをした

「おいおい、それは唐突な話だねぇ…?」

表情を引きつらせながらも和葉は役人に歩み寄る。

「唐突ではない。貴様はお目付け役を怠り、数多くの違反をしているようだな。」
「違反…?何を言ってるんだい?」
「とぼけても無駄だ。監視記録には全て記されている。」

電子版が浮き上がり、和葉のプロフィールから職務内容まで全て書き記されている。

「それ相応の罪を犯した結果だ。執行は明日。」

それまで和葉は地下牢で一日を過ごしてもらうことになり、罰則印として体に刻印を焼き付かれた。
こんのすけは翌日和葉と共に本丸のある過去へ転送された。

「和葉様…」
「こん。何も言うな。」

目の前にある黒々しい本丸。
本来は綺麗な朱色をしているはずなのだが、これまたひどい有様だ。
痛々しく巻かれた包帯の和葉は思わず苦笑した。

「お前はここから先は来れないのだろう?」
「…はい…」

しょぼくれるこんのすけの頭を和葉がぐりぐりと撫で回した。

「なに、あたしはそう簡単に死にやぁしないよ。」

それじゃあね、こんのすけ。
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