『(…あれ、なんでこうなってるんだっけ?)』
目の前に大きな口を開いた人間のような巨体
ギシギシと体中の骨が悲鳴をあげており、持ち上げられている片腕は折れてしまってる
『(確か…)』
休日で学校がなかったから家でぐうたらして、お母さんに怒られて、それで
『緊急速報、人類滅亡の恐れがあります。』
テレビで流れた緊急速報、アナウンサーの人も顔を真っ青にさせながら報道する
その直後何が起きたか理解が出来ない
『…っ!!』
気づけば外に投げ出されていた。
断末魔や咀嚼する音が一斉に聞こえてきた
自由の効かない体で、頭だけ上げると家だったらしき物がある
潰されたのか屋根から押しつぶされた様にペシャンコになってる
『…あ゛…』
うまく声が出ないがしっかりとその両目が捉えていた
瓦礫の隙間に潰されている母親の姿
街中にグネグネと動いている全裸の巨体達
国は何をしているんだろうか
軍はこいつらの対処をしてるのだろうか
こいつらは何なんだろうか
なんで人を食べてるんだろうか
『お母ざ、』
大きな足が目の前に現れ、顔をあげると笑顔の巨体が瓦礫にいる母親をつまみだした
何も抵抗せず、流れるようにその巨体に食べられていった。
『(人ってあんな簡単に死ねるんだっけ…?)』
やけにリアルに骨が折れる音と血しぶきが舞い、血の雨が顔中に当たる
母親を食べた巨体が、あたしに気づいた。
『……くそがっ…』
軽々と持ち上げられて、腕の骨がぼきりと折れた
人類はこいつらに勝てるはずがない。
至るところから聞こえる断末魔や咀嚼音
血の流し過ぎでおぼろげながらにしか見えない巨体の表情
『(そんな嬉しそうな顔しやがって)』
重力に従うようにあたしはその口へと吸い込まれていった
――人類滅亡まであと数秒。
♂♀
「アザミ!!!」
ハッとして起き上がると、不安な面持ちで見ているアニ
「……部屋?…死んだんじゃ…?」
ズキズキと痛む頭を抑えつつ、部屋を見渡すと素っ気ない部屋だ。
「何言ってんの?今日から訓練でしょ」
「あぁ、今日か…」
ゆっくりと起き上がって、綺麗にたたまれている訓練兵の服を来た。
「随分うなされていたけど平気?」
「………うん、どんな夢か忘れた。」
鏡に写る自分の姿はとてつもなく生気を感じられる顔じゃない。
死人のような顔つきで隈も酷くなっていく一方だ。
「(……ああ、やけにリアルな夢だ…)」
目を閉じれば、食われる感触が全身を身震いさせる。
確かにあの日食われたはずなのに、生きている。
生まれ変わって今は訓練兵として生きてる
「朝ごはん無くなるよ」
「……ああ、うん」
早く、死にたいのに死ねない
人類絶滅した日本から、絶望寸前の世界へトリップ
ここではあの巨体は巨人と言い、壁外にいるのが当たり前のようだ
「早く、死にたい」
廊下から見える外は非常に綺麗な青空だ。
誰か殺して
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