いろいろしょーせつ | ナノ
クロウと飯を食った次の日。今日もリンを一目見たくって、木々を掻き分けていったんだ。

そしたら、周りが木に囲まれた神社に入ってしまったんだ。

「ここはどこだ?伝説の別世界か?」

その神社の境内に足を踏み入れて、探索することにした。鳥居や社は手入れがきちんとされていた。
だが、まだ明るいのに手入れをしている奴は一人も居なかった。

誰か人がいても良いんじゃねーか?
俺一人の世界なのか。

石畳の道を進んで行けば、遠くに小さな公園が見えた。
遊具はブランコと小さな滑り台、その他はベンチが二つに井戸だ。
まぁ、井戸は不気味だがあってもおかしくないか。

ユーゴはその公園に向かった。一休みしたい気持ちもあり、少し早足だ。
歩きながらユーゴは、何故リンにどうしても会いたいのかと考えていた。

未だに始めて会った時が忘れられない。
ハイタッチした感触がまだあるかのような錯覚もある。

一度しか会った事がないのに、ユーゴはリンの事で頭が一杯になった。そのためか、ユーゴは公園の段差に躓き、転んだ。

転んだ先は木の幹にぶつかり、良い音が鳴ってしまった。
鳥たちが驚いた様に一目散に飛び去った。

ユーゴ一人しか居ないので、反応する人は勿論、いるわけがない。ユーゴは然り気無く、転んだ場所で仰向けになってみた。遠くから鳥のさえずりが聞こえて来る。空は木に隠されて余り見えないが、木漏れ日が程よくて気持ちが良い。

「ここ……良い場所だな。」

「そうよ!」
「そうだよ!」

突然、二人の子供の声が聴こえユーゴは跳ねる魚のように飛び起きた。女の子と男の子の声をユーゴはハッキリと聞いたからだ。

(転んだ時も見ていたのか?)
「だ、誰かいるのか……。」

叫んでみるつもりが、恐怖で言葉の終わりが弱々しくなってしまった。
叫んで呼んでみても、声が反響するだけで返事は無く、ユーゴの顔が青ざめていく。

やばい、と思い走ろうとした時、風が吹きユーゴの頬を撫でた。
一瞬だけ時間が止まった気がした。

「ごめん、ユーゴ。あの子達、恥ずかしがり屋だから……。」

また突然、声が聴こえた。が、さっきと違うのは一番会いたい人の声だという事だ。
ユーゴは声の主の名前を叫び周りを見渡す。その声の主は、ユーゴの後ろに居た。

久しぶりに見た、その姿は何も変わり無く淡いピンク色のワンピースの上によく合う色のパーカーを羽織っている。

声の主−−リンは心配そうな表情をしていた事が気が掛かりであった。




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