−−−早朝
ユーゴは今日こそリンを見付けようと玄関の扉を開けた。
その時、バイクを走らせる青年が新聞の束から一つ取り出し、ユーゴ家のポストに入れている途中であった。
「……あ、おはようございます。」
中々敬語は慣れねぇな、としみじみ思う。
「おはよう、確かユーゴだよな。」
「何で俺の名前を?始めて見る顔だし。」
「俺は、新聞配達のバイトをしてるんだ!クロウだ、宜しくな。」
ニカッと笑う顔が眩しいと思う。
新聞配達か。彼ならばリンについて知っているのではないか?
「なあ……」
「?」
「リンっていう人は知らないか?」
クロウは長くなるからバイトが終わった時に会おうぜ、と言った。
何だ?長くなるって……。
−−−昼時
ユーゴは、バイト終わりのクロウを自宅に招き入れた。
予め聞いていた両親は協力し適当であろう量のご飯を用意した。
「良いのか?こんなに用意して貰って。」
「良いと思うぜ。母さんの料理はいつもウマイからな!」
その後、二人は母さんの手料理を食べきった。
クロウは箸を置き、深刻そうな表情になる。
「どうしたんだ?」
「……。」
俺はクロウに聞いてみるが反応は薄い。
やっぱり、リンの事か?
「リンは何か秘密でも抱えているのか?」
「……それはまだ、言えねーけどリンは俺達の仲間だ」
「仲間?知り合いかよ!だったら「教えることは出来ねえんだ」」
思わず言葉を失った。リンの仲間にようやく会えたのに、リン本人には会えないのかよ……。
最後にひとつだけ確認したかった。
「なあ……リンは俺の事を嫌ってるのか?」
「そんな事はない。大層気になっているらしいぜ」
「そうか……」
ならば、まだ希望はあるか。
ユーゴはクロウを見送った。
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